今後、取り組むべき球種があるとしたら、チェンジアップでしょうか。いまは、カウント球でカーブを投げますよね。いきなり、初球にドロンとしたカーブを投げることがあります。打者は初球にカーブを狙うのはなかなか難しいですから。

　カーブを配球に織り込んでいくのはたしかに有効ですが、大谷君の腕の振りを生かすとしたら、チェンジアップがより効くんじゃないかと思います。

　右投手にとって、左打者をどうやって抑えるかというのは永遠の課題です。左打者の外角にカッター気味のフォーシーム、バックドア・スライダー、そこにチェンジアップが加わってくると、相手は球種を絞りにくくなるはずです。日本人投手では、前田健太君、ダルビッシュ有君も、チェンジアップをうまく使ってますよね。僕の経験からすると、スプリットが投げられれば、わりと簡単にマスターできる球種だと思うので、チャレンジしてくれたら面白いなと思ってます。

見てみたい「大谷vs大谷」

　本当は、「投手・大谷対打者・大谷」の対戦が見られたら面白いですよね（笑）。投手・大谷がどういう配球をするのか想像するのは楽しいです。実は僕がソフトバンクでプレーしていた時に、大谷君と一度だけ対戦しているんです。その時は二塁ゴロに打ち取りましたが、試合前の打撃練習が鮮烈な記憶として残っています。

　マスコットバットを持って、東京ドームのスタンドにボールをピンポン球のように運んでいく。しかも、簡単にです。巨人時代の松井秀喜さんよりも飛ばしていたので、「こんなバッター、これまで見たことない」と呆気にとられてました。

　呆気にとられたといえば、今季最初の二刀流の試合、4月4日のホワイトソックス戦では、1回表に100マイルの速球を投げ、その裏にドカーンと本塁打を打ったのにもびっくりしましたけどね。とにかく驚きっぱなしです。

　僕が大谷君をどう抑えるか、というプランですか？　終盤の勝負どころで対戦するとなったら、とにかく内角をドンドン突いていくしかないです。

　今季は大谷君が二刀流ということで、投手の方にも内角を攻めづらいというジレンマがあったと思いますが、あれだけの打撃を見せられたら、投手としては厳しい内角攻めを選択するしかない。ただし、インローはさばくのがうまいので、インハイにコントロールしないとやられます。豪快な打者を相手にすれば、繊細なコントロールは欠かせないですよね。来年は、相手バッテリーの厳しい攻めに対して、大谷君がそれにどう対処するかに注目していきたいですね。