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210cm牧大晃18歳が熟考して決めた「大学入学前にVリーグ」バレー界の“暗黙の了解”に踏み込んだパナソニックの一歩 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2022/03/11 11:01

210cm牧大晃18歳が熟考して決めた「大学入学前にVリーグ」バレー界の“暗黙の了解”に踏み込んだパナソニックの一歩<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

2月にパナソニックパンサーズに加入した牧大晃。4月からは筑波大にも進学する

 Vリーグ機構登録規定には、「学生の登録は内定選手を除く3名以内」という記載があり、大学生や、高校の大会を終了した高校3年生は、1チームあたり3人まで登録できる。これまでもV2のつくばユナイテッドなどでは大学生が出場していた。だがV1男子では、青田買いが過熱することを危惧してか、暗黙の了解のような空気があり、今までどのチームもそこには踏み込まなかった。

 そこに今季パナソニックが踏み込んだ。パナソニックの南部正司ゼネラルマネージャーは、日本代表監督を務めた2014年から、その必要性を強く感じていたという。

「当時は石川祐希選手(パワーバレー・ミラノ)が大学1年生でしたが、そうした若い選手が、高いレベルで冬場のシーズンを戦う必要があると感じました。結果的に彼はイタリアに行きましたが、それと並行して国内でも、大学生が高いレベルでプレーできる環境は絶対に必要。もしそれが早くにできていれば、石川選手に続く存在がたくさん出てきていたとも考えられるんです」

 海外では、大学生にあたる18~21歳の選手はすでにプロ選手として揉まれている。一方、日本は男子選手の多くが大学に進学し、大学のカテゴリーで試合を行い、12月初旬の全日本インカレが終われば、春季リーグが始まるまで基本的に冬場は試合がない。若手選手の強化の面で世界に遅れをとってきた。

 南部GMは、ティリ監督やベルナルド・レゼンデ元ブラジル代表監督(現フランス代表監督)など、親交のある海外の名将からも、日本の大学年代の強化の課題をことあるごとに指摘されていたという。

「世界で勝つために整備しなければ」

「将来代表での活躍が期待される、メダルを狙えるような選手に、いかに早い年齢で高いレベルを経験させるかが勝負です。それはその選手にとって、2年後3年後、5年後、そして10年後、大きな差になってくる。

 日本には大学スポーツというものがありますが、それをやりながらでも、冬場にVリーグを経験できるなら絶対にメリットがある。日本が世界で勝つためには、そこは整備しなければ。そういうシステムと戦略、プランをちゃんと作らない限りはメダルなんて絶対に獲れない。偶然ではなく必然的に、メダルを獲れるような選手を生み出していく仕組みを作らなければいけません。

 日本のバレーが強化され、世界に通用する競技となって、国内のリーグもよりハイレベルで楽しめるとなれば、バレーボールの価値が高まる。そうすればいろんな面で支援してくれる人も増える。そういう流れを、強化の面から作る施策でもあります。それに、その選手を冬の期間にVリーグで強化できれば、4月から戻っていく大学にとってもいいことだと思うんです。最終的にチームを選ぶのは本人ですから、卒業後はもちろん別のチームに行ってもいいし、海外に行くことも、自由にできればいいと思います」

 南部GMは昨年10月、日本バレーボール協会の男子強化委員長に就任。パリ五輪まで時間がないこともあり、今回のプラン実行への思いを強くした。

 JリーグやBリーグには、学生を登録できる「特別指定選手」という制度があり、南部GMはそうした他リーグの制度も参考にし、今回3人の登録に踏み切った。

【次ページ】 早大・大塚が明かした本音「バスケっていいよな」

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