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なぜ“前半5連敗→後半5連勝”だったのか? DeNA大貫晋一が「戻れる場所だけは絶対に作っておかないといけない」と語る理由 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/03/07 11:01

なぜ“前半5連敗→後半5連勝”だったのか? DeNA大貫晋一が「戻れる場所だけは絶対に作っておかないといけない」と語る理由<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

横浜市生まれで、日体大から新日鐵住金鹿島を経て18年ドラフト3位で入団。大学時代にはトミージョン手術も経験した

「去年やりたかったことが今年は改善されていて、いい方向に向かっていると思います。具体的にですか? 例えば、投げるときの並進運動のスピードが速くなっていたので、そこはすごく良かったですね」

 ピッチングにおいて体の向きを変えることなく体重移動させることを並進運動という。これが回転運動と合わさり、微細なバランス感覚のもとフォームは完成していく。

「あとはアームアングルですね。上から投げ下ろすのがいいのか、それとも少し横から投げる方がいいのか。じつはまだ定まっていないので、実戦を通して探り探り固めていくような感じですね。ただ……」

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 そう言うと大貫は、シリアスな口調でつづけた。

「戻れる場所だけは絶対に作っておかないといけないんです」

 つまりベースとなるフォーム、“ゼロの地点”を確立しておくことが肝心だということだ。

「フォームを触ったり修正していく上で一番怖いのは元に戻れないということなんです。元になるフォームがないと、崩れっぱなしになってしまいますからね」

 数年前、大貫と同学年の今永昇太が調子を崩したとき同様のことを語っていたが、礎となるいつでも戻れる場所は、投手にとって必要不可欠である。

メンタルトレーナーとの会話での気づき

 あと気になることは、大貫のメンタルだ。調子がいいときは飄然としたマウンドさばきで安心して見ていられるが、ピンチがつづくとどこか視野狭窄を起こし、不安そうな様子が見て取れる。とくに昨年の前半はそのような傾向があったように思えたが、メンタル強化について大貫に問うと、納得したように答えた。

「じつは今年からチームにメンタルトレーナーの方が入られてお話をする機会がありました。結構、ハッとさせられて、気づくことが多かったですね。とくに気持ちの切り替えの面ですね。マウンド上で気持ちの切り替えができないとズルズルと行ってしまい、いい結果は生まれない。マインドが体に現れてしまうといった指導を受け、すごく勉強になりましたし、今後活かせていけたらと思っています」

 例えばピンチの際、バッターやランナーだけを注視するのではなく、一度目線を切ってスタンドを見上げ、ひと呼吸置くことが重要になるという。学生時代にトミー・ジョン手術をし、苦労した末にプロになった勉強熱心な大貫である。きっと成果を見せてくれるだろう。

【次ページ】 開幕投手への想い

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#横浜DeNAベイスターズ
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