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なぜ“前半5連敗→後半5連勝”だったのか? DeNA大貫晋一が「戻れる場所だけは絶対に作っておかないといけない」と語る理由
posted2022/03/07 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Nanae Suzuki
しみじみとした口調。
「本当、優勝したいですよね」
横浜DeNAベイスターズの大貫晋一は感慨深い様子でそうつぶやいた。横浜市青葉区出身。幼いときから親しみのあるベイスターズが1998年の日本一から離れ24年目。当時4歳だった大貫からすれば、その記憶は遠く、曖昧模糊としたものだ。
「地元の友だちから“今年こそは!”と言われているので、期待に応えたいですよね」
この多くの人の想いを実現するためには、地元の星である大貫の力が必要だ。
先発投手として2020年シーズンから2年連続してチーム勝ち頭となった大貫だが、昨年は6勝7敗、防御率4.34であり、言うまでもなく納得のできる成績ではない。とくに前半は5連敗を喫するなど、苦しい時間がつづいた。
「火曜日のカード頭を投げさせてもらうことが多かったのにチームを勢いに乗せるピッチングができなかったのは申し訳なかったし、悔しい気持ちで一杯です。だから今年はやり返したいなって」
前半戦5連敗を招いた要因
勝つことのできなかった昨年の前半戦、バッテリーを組んでいた戸柱恭孝によれば「ボールは悪くなかった」というが、原因はどこにあったのか。
「まずは右打者のインコースに投げ切れず、自分からカウントを悪くしてしまう状況があったと思います。しっかり厳しいところに投げ込まなければいけないのに、自分自身を追い込んでしまった部分はありましたね」
大貫は5月末に登録抹消されると、約1カ月間、自己研鑽に取り組んだ。
「一軍のピッチングコーチから言われていたのは、しっかりと両サイド(外角低め)にストレートを投げ込むこと。あとは、やはりどうやったらインコースに嫌な印象を与えることができるのか」
改善点を掴んだきっかけは、ある一球だった。ストレートを主体で投げていたファーム戦で右打者にデッドボールを与えてしまった。攻めた結果ではあるが、普段デッドボールの少ない大貫は、ふと感じたことがあった。