ロックンロールとしてのベースボールBACK NUMBER
改装した東京ドームだけど… 音楽的には「後楽園時代からタイガース(沢田研二)の本拠地」だった?〈球場コンサートの元祖〉
posted2022/03/03 17:00
text by
スージー鈴木Suzie Suzuki
photograph by
BUNGEISHUNJU
音楽の視点から野球話をする連載です。音楽と野球の接点の1つに「球場コンサート」があります。というわけで今回から、「球場コンサート」の歴史を、球場別で振り返っていく企画を、断続的に書いていきたいと思います。
まずは、「日本球場コンサート史」、ひいては「日本球場史」の主人公=後楽園球場~東京ドーム。ジャイアンツの本拠地でもありながら、言わば「日本球場コンサート史の本拠地」でもありました。
解散コンサートの後楽園、そして東京ドーム時代
後楽園コンサートといえば、何といっても、一種の社会現象にもなった1978年のキャンディーズの解散コンサートにとどめを刺します。また81年には、ピンク・レディーとアリスが、それぞれ後楽園で解散コンサートを開催。
隣に建てられた東京ドームにバトンを渡して、87年いっぱいで後楽園は閉園するのですが、この最終年に後楽園でコンサートをしたのがマドンナとマイケル・ジャクソン。特にマイケル・ジャクソンの来日公演は、「日本球場縦断コンサート」とも言える大々的なもので、後楽園3公演から、西宮球場3公演、横浜球場5公演、大阪球場3公演と続いていきました。
そして、東京ドームは、屋根も付いたことで、いよいよコンサートの聖地となっていき、音楽ファンにとっては、野球場というより「日本最大級のコンサートホール」として認知されていきます。
ホールとしての認知を一気に高めたのが、1990年2月のローリング・ストーンズの初来日。その数何と10公演(かつ、すべて東京ドーム)。私も足を運びました。それが何日目だったのかは忘れてしまったのですが、セットリスト1曲目=『スタート・ミー・アップ』のイントロが鳴った瞬間の感動は忘れられません。
その他にも、グランド・ファンク・レイルロードだ、矢沢永吉だ、サイモン&ガーファンクルだ、そして美空ひばりのあの伝説的なコンサートだと、様々な音楽家が、この東京都文京区の地で素晴らしいパフォーマンスを披露、「日本球場コンサート史の主人公」のポジションは、現在にもしっかりと受け継がれています。
後楽園球場で最初に単独コンサートを開いたタイガース
ではこの後楽園球場で、最初に単独コンサートを開いたのは誰だったのか?