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吉田知那美「さっちゃん、天才!」 市川美余「裾野が広がるように…」明るく美しいカーリング女子の精神《史上初の銀メダル》 

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posted2022/02/20 13:25

吉田知那美「さっちゃん、天才!」 市川美余「裾野が広がるように…」明るく美しいカーリング女子の精神《史上初の銀メダル》<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JMPA

日本勢初の銀メダルを獲得したカーリング女子日本代表(ロコ・ソラーレ)

 しかしそこからロコ・ソラーレが2勝2敗のタイに持ち込み、最終戦へともつれ込む。迎えた最終第10エンド、北海道銀行は6-7と1点ビハインドの中、不利な先行ながら逆転の形を作りに行き、吉村の最終投でナンバー1、2を確保した。

 これに対して藤澤五月が完璧なドローショットを決めたものの、最後の最後までスリリングな展開に持ち込んだ名勝負として、吉村ら北海道銀行の健闘も素晴らしいものだった。

 冒頭の言葉は、ロコ・ソラーレの代表理事を務める本橋麻里から「ライバルがいなかったら、私たちもここまで強くなれなかった」と健闘を称えられた吉村の言葉だ。相手あってこそのスポーツということを、カーリングは示してくれる。

 吉村らは日本選手権後、「フォルティウス」として活動を継続。さらに北海道銀行は女子カーリング部を立ち上げるなど、今後は国内での切磋琢磨がさらに増すかもしれない。

氷の上で不安に思ったら口に出してみる

<名言3・4>
2敗しなければ、ロコ・ソラーレらしさを思い出すこともできませんでした。
(藤澤五月/Number1045号 2022年2月3日発売)

氷の上で不安に思ったら口に出して言ってみる。1人で抱え込まず、落ち込まず、というのがチームで大事なことだとこの4年間で思いました。
(吉田知那美/Number1045号 2022年2月3日発売)

◇解説◇
 吉村たちが紙一重の差で逃した五輪への挑戦権。視点を変えてロコ・ソラーレの立場から見てみると、非常に苦しい戦いだった。

 4年前の平昌五輪銅メダルで注目度が上がり、2大会連続の五輪出場が期待される中での連敗スタート。本橋の目には、第2戦まではチーム全体から“期待に応えたい”というプレッシャーが感じられ、「“らしさ”をしまいこんでいる」と映っていた。

 しかし追い込まれたことで、彼女たちはいい意味で開き直れたようだ。

「さっちゃん、天才!」

 吉田知那美が藤澤の一投に対してこう言葉をかけるなど、持ち前の明るさを発揮。チーム全体で流れを変えて3連勝を導いたのだ。2021年12月の世界最終予選は9チーム中3カ国だけが出場権という厳しいレギュレーションながら、「メガネ先輩」ことキム・ウンジョン擁する韓国にラウンドロビン、そしてプレーオフともに勝利するなど勝負強さを見せて五輪切符を獲得した。

 そして迎えた北京五輪、ドラマティックな展開が連続した。初戦のスウェーデン戦こそ落としたものの、その後はカナダ、デンマーク、ROC、中国相手に4連勝。特にデンマーク戦では5-7で迎えた最終第10エンド、藤澤がラストストーンでダブルテイクアウトを決めて3点を奪う大逆転勝利だった。

 その後は韓国とイギリスに連敗。アメリカ戦での勝利後に最終戦のスイスに敗れてチームは涙したものの、他試合の結果を受けて予選リーグ4位で準決勝進出が決まり、鈴木夕湖が「今世紀最大のサプライズ」と話すなど、一転して大喜び。結果的に4連勝が大きな価値を持ったのだ。

【次ページ】 “4年に一度”のカーリングが根付くものになるために

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