炎の一筆入魂BACK NUMBER
愛弟子・宇草、パワーの末包、外野手転向の中村奨…広島の今季を占う“ポスト誠也”は誰が務める?《ベテラン長野もアリ》
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2022/02/16 06:00
筆者が“ポスト誠也”の筆頭に挙げた宇草。昨季は43試合の出場ながら、打率.291、4本塁打と打撃面でアピールした
昨季、限られた出場機会の中で打率.283を残した打力に加え、走力も高く評価されている。河田雄祐ヘッドコーチは「昨年見て、足が使えることが分かった。奨成が塁に出ると(攻撃の雰囲気が)変わる。2番に入ってもおもしろい」と期待する。1次キャンプの紅白戦ではいずれも2番起用。「走れる捕手」から「走攻守3拍子そろった外野手」として、首脳陣の構想の中にどれだけ刻むことができるだろうか。
中堅、ベテランも含め、抜きん出る選手が出てくれば、それが今年の攻撃の形になるのかもしれない。
キーポイントはジグザグ打線
たとえば昨季をベースに内野の陣容を想定すると、捕手會澤翼、一塁坂倉、二塁菊池涼介、三塁林晃汰、遊撃小園海斗となり、仮に外野に西川、宇草、野間峻祥が入れば、左打者に偏る問題が出てくる。
右打ちで長打力のある末包を宇草や野間の代わりに外野で起用すると、機動力が使いづらい。ならばと、機動力ある中村奨を外野の一角に入れれば、全体的に長打力不足は否めない。打線に重厚感をもたらすために、実績のある長野久義に一角を託す選択もある。
投手力が整備されつつあるだけに、守備力重視の戦い方にシフトする考え方もあるが、佐々岡真司監督は首を縦に振らない。「周りから見るとそう思うかも知れないが、そう簡単なことではない」。方向性はまだ模索している段階のようだ。
1次キャンプでは、一塁で右の堂林翔太と末包を試した。投手が打撃投手を務めたフリー打撃からシート打撃、11日の紅白戦まですべて右左のジグザグ打線。左右のバランスを意識した並びに、シーズンへ向けた理想像が垣間見えた気がする。
佐々岡体制は昨年までの2年間、チームづくりの遅れがシーズン序盤のつまずきとなった。“ポスト誠也”という難解な課題に、広島首脳陣が開幕までにどのような答えを出すのか、注目したい。