まず注目を集めたのは、ドラフト6位の末包（すえかね）昇大だった。東出野手総合コーチが「（打球の）音が一人だけ違う。パワー、飛距離は教えられない。持って生まれたもの」と目を丸くしたパワーは、一軍キャンプ参加選手の中でも群を抜く。ロングティーでは、中堅122m後方のバックスクリーンにぶち当てるなど、飛ばす力だけで十分な存在感を示したといえる。

　特に大砲タイプの台頭を切望していた指揮官の期待は大きいだろう。キャンプインと同時に本職でない一塁に挑戦させたのも、起用の幅を広げるためであり、その期待の高さの表れでもある。外野守備の動き、送球ともに安定しているだけに、実戦が増える2次キャンプでどこまでの対応力、安定性を示すことができるかが、レギュラー獲りの鍵を握ることになるだろう。

長距離砲として期待がかかる末包。大阪ガス時代は社会人屈指の右のスラッガーとして活躍した25歳

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　キャンプ序盤、末包の陰に隠れるような存在だったドラフト3位の中村健人は、実戦段階に入ると存在感を増していった。7日、初の実戦形式のシート打撃では4打席で2安打2打点1盗塁、翌8日のシート打撃でも3打席で2安打。初実戦となった11日の紅白戦では、今キャンプ第1号を左翼席にたたき込んだ。身体能力の高い選手がそろう広島外野陣の中、総合力で勝負する新人が生き残るためには、実戦での好結果と好内容を積み重ねていくしかない。

外野転向でレギュラー獲りに挑む中村

　“右の外野手の新戦力”といえば、もう一人。捕手登録の中村奨成が今春キャンプから本格的に外野に挑戦している。

　地元広陵高から17年ドラフト1位で指名された捕手も、今年で5年目を迎える。一軍出場は昨季の39試合を最多に、通算43試合。人材豊富な広島の捕手争いでは後れをとっている現実もあり、出場機会を増やそうと本人も前向きに取り組んでいる。

　キャンプでは連日、早出か居残りの重点練習で外野の特守を受けている。静止状態から素早いステップで送球する捕手と、動きながら捕球しさらに足を使って送球する外野手とでは動きがまったく異なるように、飛球の捕球体勢まで染みついた癖を取り除きながら外野守備に取り組んでいた。

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