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ジュリア率いるドンナ・デル・モンドは「女子プロレス版ロス・インゴ」なのか? ギラギラ感満載の“世界の女たち”が踏み込む刺激の坩堝
posted2022/02/05 17:00
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
1月29日の愛知・ドルフィンズアリーナ。“スターダムのお騒がせ女”ジュリアは大忙しだった。
突如乱入してきたデスマッチ&ハードコアユニットのプロミネンス(世羅りさ、鈴季すず、藤田あかね、宮城もち、柊くるみ)に呼び出されると、「私のおかげで、アンタたちは今ここにいるんでしょ?」と挑発し返し乱闘に発展。その後のセミファイナルでは岩谷麻優とシングルマッチを行い、30分フルタイムドロー。メインを食うほどの激闘を展開し、3月の両国国技館2連戦の初日に行われる赤いベルト戦(ワールド・オブ・スターダム選手権)へと駒を進めた(※岩谷は2日目に挑戦)。
現王者の朱里とジュリアによるドンナ・デル・モンド(以下DDM)の頂上対決と、プロミネンスとの遭遇。大きなうねりが2つ同時に迫ってきたが、それらは自らが引き寄せたものだ。団体の内外を問わず刺激を与え、波風を立てながら自らに返ってくる刺激を楽しむ“お騒がせ女”の真骨頂がそこにはあった。
発足時からとにかく「ギラギラ」していたDDM
そんなジュリアが創ったDDMは、今もっとも目が離せないユニットの1つだ。
1月3日、ジュリアはテクラとMIRAIという2人の新戦力をお披露目したが、彼女たちは29日に揃ってシングルのベルトに挑戦し実力を見せつけた。テクラは白川末奈を撃破してSWA世界王座を獲得。加入してすぐに同じDDMの朱里が持つ最高王座へと挑戦表明し、そのギラギラぶりをスターダムのファンに知らしめたMIRAIは、モノが違う女を相手に全てをぶつけ、敗れたものの自身の価値を高めた。
維新軍、平成維震軍、超世代軍、nWo、TEAM2000、バレット・クラブ、ロス・インゴベルナブレス……プロレス界では様々なユニットが生まれ、時には団体や国をも越えるムーブメントを巻き起こしてきた。
ユニットというものは、反体制、同世代、師弟関係、同じルーツなどなど、さまざまなきっかけで発足するが、簡単に言うならば、志を共有する者が集まって構成されたグループだ。
2019年12月からスターダムに参戦したジュリアが「気の強くてギラギラした人を探している」とメンバーを募りはじめたのは、2020年1月14日のことだ。
ジャスト・タップ・アウト後楽園ホール大会で林下詩美に敗れた舞華を「もしトップに立ちたいんだったら……」と勧誘。舞華は「貪欲に強さを追い求め続けるレスラーでありたい」とこれに応じ、同19日のスターダム後楽園ホール大会で朱里も加わってDDMがスタートした。
この時、創設者であるジュリアは、メンバーに求めることを「自分がトップに立ちたい、のし上がってやりたい、というハングリー精神がある人」とし、同時に「ユニット名は決めましたけど、わたしがリーダーだ、とは別に言いません」とも語った。