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羽生善治九段、A級順位戦で連続29期や15連勝など偉大な実績も「降級危機」 大山康晴十五世名人ら過去の名人はどうだった?
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph bySankei Shimbun
posted2022/02/02 11:04
2021年1月、棋聖戦2次予選。羽生善治九段と森内俊之九段の対局の感想戦。ともに「永世名人」の資格を持つ偉大な棋士だ
「フリークラス」に転出した名人経験者と言えば
1993年に「フリークラス棋士」制度が定められた。順位戦に参加しなくても、所定の条件で現役を続けられる。名人経験者の棋士がA級から降級した場合、引退に追い込まれないようにする趣旨があった。
中原誠十六世名人(A級在籍は連続29期・名人在位15期を含む)は、2000年にA級から52歳で降級した。「年齢的にも将棋の内容からも、まだ指せると思っています。A級復帰を目指します」と語り、引退を否定した。その後、2002年にフリークラスに転出し、2009年に引退した。
現役の4人については、以下の通り。
・佐藤康光九段(A級在籍は通算25期・名人在位2期を含む)
2010年にA級から降級した。2011年にA級に復帰し、現在もA級に在籍している。
・丸山忠久九段(A級在籍は連続14期・名人在位2期を含む)
2012年にA級から降級した。現在はB級2組に在籍している。
・谷川浩司九段(A級在籍は連続32期・名人在位5期を含む)
2014年にA級から降級した。現在はB級2組に在籍している。
・森内俊之九段(A級在籍は連続22期・名人在位8期を含む)
2017年にA級から降級し、フリークラスに転出した。
以上の例のように、名人経験者の棋士がA級順位戦で降級した場合、(1)B級1組に在籍してA級復帰を目指す(2)フリークラスに転出、という選択肢がある。
羽生九段は数々の大記録を打ち立ててきたが、まだ超えられない存在が大山十五世名人だ。大山は50代以降にタイトルを11期も獲得し、66歳でタイトル戦に挑戦した。
51歳の羽生が今期のA級順位戦でどのような結果になっても、大山を目標にして戦い続けてほしいと、私は思っている。
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