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藤井聡太二冠は進学校だけど…「将棋は偏差値が高い子どもが有利?」「理系と文系で差は?」“教授”に聞く
posted2020/10/11 17:01
text by
小島渉Wataru Kojima
photograph by
KYODO
プロ棋士で、子どもたちへの将棋の指導も熱心に行う“教授”勝又清和七段。20年以上、多くの子どもを見てきた勝又七段に「才能の伸ばし方」について聞いた。(全2回の1回目/#2に続く)
――勝又七段が子どもたちに将棋を本格的に教えるようになったのは、いつごろからでしょうか。
勝又清和七段(以下、勝又) 1999年、私が30歳の頃です。今は学校や児童館で教えています。また東京大学で将棋の授業を受け持っています。他にも企業などの将棋部で教えています。あとは新聞の観戦記や専門誌で講座を書いていますね。
――1999年ですと、タイトル保持者は藤井猛竜王、佐藤康光名人、羽生善治四冠、谷川浩司棋聖ですね。
勝又 ええ。私は1995年に棋士になり、将棋連盟のこども将棋スクールの講師を務めていて、弟弟子の渡辺大夢五段(現在32歳)と会いました。でも本格的に見始めた世代は、1999年ぐらいに小学校の低学年だった人たちなんです。
2004年の小学生名人戦はいまでもよく覚えています。私の師匠の道場に通っていた佐々木勇気くん(勝又の弟弟子で現七段)、伊藤沙恵ちゃん(女流三段)、三枚堂くん(達也七段。内藤國雄九段門下ながら石田和雄九段の道場に通った)が代表になった大会でした。3人とも手の見え方がとにかく速いんです。詰みがよく見えるし、本筋とイモ筋の違いをすぐに見極めていました(“イモ筋“は方向違いの手を意味する)。
――本筋とイモ筋の違い、ですか。
勝又 どれが局面の急所を突いているか、サッと分かるんですよね。これが大きくて、小さいときに本筋の手が指に染みついているとプロになってからも違います。
「小3で将棋を覚えて近所のおじさんと指すぐらいだった」
――勝又七段の1歳下に羽生九段がいます。羽生九段は小学校1年生で将棋を覚えて、小学校6年生に奨励会入り。プロデビューは中学校3年生です。当時としては中学生で奨励会に入る人も多く、10代でプロデビューすれば期待の新鋭といった感じでしょうか。勝又七段はどうでしたか。