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「藤井聡太竜王、車掌・くいだおれコスプレして“無”になってる…」 観る将マンガ家が描く《1月の将棋ハイライト》
posted2022/02/01 17:03
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
Junsei Chida(illustration)/Takuya Sugiyama
2022年を迎えて、1月も熱い対局が続いていますね。まずは渡辺明王将と藤井聡太竜王が戦っている、王将戦から見ていきたいと思います。
1)王将戦での熱戦と、藤井竜王コスプレ3連発
静岡県掛川市で開催された第1局は、両者1分将棋でどちらに形勢が傾くか分からない内容が続いた末に、139手で藤井竜王が先勝。この勢いに乗って藤井竜王は第2、第3局ともに勝利を飾り、史上初となる10代での「五冠」獲得へあと1勝としました。いつもながらの書き方になってしまいますが、とにかく強い……。
ただ第1局や第3局など、評価値が揺れ動くなど非常に際どい戦いだったというのは、対局したお2人、そして解説の方々の言葉から痛いほど感じ取っています。
頭脳を駆使して行われている水面下での戦いは、2人の表情や考える時間を見るだけでもわかります。例えば渡辺王将。ある局面で考えている際の渡辺王将に注目してみると、顔が紅潮し、血管が浮かび上がるほど集中している様子でした。
盤面を離れるといろんな物事に興味を持ってるようで、ツイッターでユーモアを交えて表現してくれる“文章名人”ですが……タイトル通算29期など圧倒的な実力を将棋界で発揮してきた証拠を垣間見た気がしました。一方の藤井竜王も、第2局での「超・大長考」が注目を集めましたね。
これまでの藤井竜王の最長の一手は、2021年8月の王位戦第5局、豊島将之九段戦での121分でした(と、Numberの将棋特集号に載ってました・笑)。しかし今回の「8八歩」はそれを27分上回る「148分」でした。
これがどのくらい長時間なのか、自分なりに考えてみると……この前自分が見た映画『スパイダーマン』ほぼ1回分だったり、東北新幹線で大宮駅から八戸駅までが最速139分だそうです。その時間を常に考え続けていると思うと凄まじい。渡辺王将、藤井竜王が見せた思考の深さには感服するばかりです。
そんな激しい戦いを繰り広げた後に行われる王将戦恒例の“勝者のコスプレ”も話題になりましたね。