酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドカベンは「原辰徳世代の甲子園で清原超え+ノムさん級捕手」 あぶさんは王さんや落合級…推定成績に見る《水島新司漫画の偉業》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2022/01/19 17:01
「ドカベン」こと山田太郎。彼ら登場人物や水島新司先生がマンガで残した実績はとてつもなく偉大だ
・景浦安武 (1973~2009 実働37年)
3920試11660打3323安717本1798点 率.285
景浦は1946年12月17日生まれ。昨年暮れに75歳になっている。山本浩二、田淵幸一など「花の1968年ドラフト組」と同世代だ。その1人、ミスターロッテ有藤通世とは誕生日まで同じ。漫画で景浦は門田博光を「カド!」と呼び捨てにしているが、門田は景浦よりも1歳年下だから辻褄は合っている。
景浦は1973年、26歳でプロ入りし「ひと振り稼業」の代打時代が長かった。1985年までは規定打席に到達したシーズンはなかったはずだ。1983年オフに一度は退団するが、南海のテストを受けなおして再入団、1986年はレギュラーに定着し、40歳にして落合博満と本塁打王のタイトルを分け合う。
1991年から3年連続で三冠王、それも含め1991年から5年連続で本塁打王。2000年には野村克也に次ぐ「3000試合出場」を記録している。
苦労人あぶさんは61歳にして史上初の打率4割!
そして2007年には61歳にしてNPB史上初の打率4割を達成して首位打者。2年後の2009年に引退している。
前述した通り、ほとんどの数字は推測だ。打率.285は、37年のキャリアのうち前半の13年は「ひと振り稼業」の代打であり、打率は高くなかったと考えたからだ。また景浦は鈍足ではなかったものの、代打時代はバットに吹きかける酒しぶきがトレードマークであり、ほろ酔いでプレーすることも多かった。足で稼いだ安打もそれほど多くなかったはずだ。
試合数、安打数はNPB歴代1位になるが、本塁打数は王貞治の868本に次ぐ2位、打点は2170打点の王貞治、1988打点の野村克也に次ぐ3位。王、野村は景浦が仕えた指揮官であり、公私ともに大恩人である。水島新司は景浦に、この2人の記録を抜かせることはないだろう。
とはいえ――首位打者4回、本塁打王6回、打点王4回、三冠王3回。王貞治、野村克也、落合博満に匹敵する大打者だったことになる。
清原が「プロ野球に行ったドカベンを見たい」と
・山田太郎(プロ野球編 1995年~2012年? 実働19年?)
2160試7891打2525安670本1850点 率.320
『ドカベンプロ野球編』は1995年、清原和博に「プロ野球に行ったドカベンを見たい」と望まれたこともあり始まった。
ここでは山田太郎は1976年5月5日生まれとなっている。城島健司、里崎智也、相川亮二、藤井彰人とこの世代にはなぜか名捕手が多いが、山田太郎もそれに連なる。1995年ドラフトで西武ライオンズに入団する。
率直に言って、山田太郎は景浦安武とは対照的にエリートの道を突き進んだ。