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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
《45億円移籍から2年》中島翔哉が「ポルトの不良債権」扱い… 50試合で14得点7アシストしたライバルとの明暗
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGlobal Imagens/AFLO
posted2022/01/09 17:00
19-20シーズンの中島翔哉とルイス・ディアス。2人の境遇と市場価値には大きな差がついている
ポルトは、欧州チャンピオンズリーグ(CL)を2度、欧州リーグを2度、ポルトガルリーグを16回(当時)制覇しており、国内ではベンフィカ、スポルティングと並ぶ強豪だ。欧州全体では、レアル・マドリー、ミラン、バイエルンといった超ビッグクラブのすぐ下に位置する。
過去、ポルトガル代表MFデコ、コロンビア代表FWラダメル・ファルカオ、ブラジル代表FWフッキら多くの名手がこのクラブでの活躍を土台にして世界のトップ選手となっており、中島も同じようなサクセスストーリーを描くことが期待された。
ライバルとの序列が決定的に変わった一戦とは
もう1人は、コロンビア代表FWルイス・ディアス(当時22歳)。爆発的なスピードと華麗なテクニックを誇る左ウイングで、コロンビアのジュニオールから移籍金722万ユーロ(約9億4000万円)で加入した。才能豊かな若手だが、当時は決定力に難があり、コロンビア代表でも控えだった。
ポルトのセルジオ・コンセイソンが主として用いるフォーメーションは4-4-2で、2トップにはセンターフォワード(CF)タイプの選手を並べることが多かった。監督は、この2人に2列目左サイドのポジションを競わせた。
中島はコンディション調整に手間取り、シーズン序盤は主としてディアスが先発で起用された。ポジション獲得を狙う中島にとって1つの分岐点となったのが、9月15日の古巣ポルティモネンセ戦だった。
後半途中から2点リードの状況でディアスに代わってピッチに立ったが、ドリブルを仕掛けてはボールを失うことが続く。守備面では、対面した右SB安西幸輝(現鹿島アントラーズ)へのマークが甘く、フリーにしてミドルシュートを叩き込まれてしまった。
中島の立場を悪化させた出来事とは
ポルトはアディショナルタイムの得点で辛うじて勝利をつかんだが、コンセイソン監督は激怒していた。試合後、すぐにピッチへ入ると、中島を厳しい口調で叱りつけた。地元メディアは「監督は、中島のプレーが独りよがりで、守備面での貢献も不十分と考えたようだ」と報じた。
これに対し、ルイス・ディアスは縦への突破でチームに多くの決定機をもたらし、守備面でも体を張っていた。監督の評価と期待が中島よりもディアスに傾いているのは明らかだった。
さらに、シーズン後半、全く想定外の出来事が中島の立場を決定的に悪化させる。