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《45億円移籍から2年》中島翔哉が「ポルトの不良債権」扱い… 50試合で14得点7アシストしたライバルとの明暗 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byGlobal Imagens/AFLO

posted2022/01/09 17:00

《45億円移籍から2年》中島翔哉が「ポルトの不良債権」扱い… 50試合で14得点7アシストしたライバルとの明暗<Number Web> photograph by Global Imagens/AFLO

19-20シーズンの中島翔哉とルイス・ディアス。2人の境遇と市場価値には大きな差がついている

 2020年3月、新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大し、ポルトガルリーグも中断を余儀なくされた。それでも、ポルトガルは欧州他国と比べると感染者の数が少なく、5月初め、各クラブはリーグ再開に備えて練習を始めた。

 中島も当初は練習に参加していたものの、5月中旬以降、練習に参加しなくなった。中島の代理人は「新型コロナウイルスへの感染を恐れ、中島の家で働いていた日本人のお手伝いさんらが日本へ帰国してしまった。夫人は幼い娘の世話で忙しく、しかも体調を崩したことから、中島は自宅で夫人と娘の面倒を見なければならなくなった」と説明した。

 しかしチームメイトとて、皆、家族がある。地元メディアは「クラブ内で、中島の行動は“職場放棄”と受け取られているようだ」と報じた。

 6月初めにリーグが再開されたが、中島は依然としてチーム練習に姿を見せなかった。中島について聞かれたコンセイソン監督は「彼の問題は、クラブ上層部に解決を委ねた」と吐き捨てた。ようやく6月下旬になって、中島はチームに復帰したい意向をクラブ側に伝えた。だが、監督はチーム練習への参加を認めず、中島は練習場の片隅で1人で体を動かした。

中島が出番を失う中、ディアスは50試合14得点7アシスト

 ポルトは、2節を残してリーグを制覇すると、ポルトガル杯も決勝で宿敵ベンフィカを下して2冠を達成した。しかし、中島の姿はピッチはおろかベンチにもなかった。

 2019-20シーズン、中島はチームが戦った56試合のうち28試合に出場して1得点3アシスト。ただし先発したのは7試合だけで、エースナンバーをつける選手としては物足りなかった。2019年11月を最後に、日本代表へも招集されなくなった。

 一方、ディアスは50試合に出場して、14得点7アシスト。プレー時間の合計は中島の2倍を優に超えていた。コロンビア代表でも、先発出場する試合が増えた。

 地元メディアは、「コンセイソン監督は中島のプレー内容もさることながら、コロナ禍とはいえ練習参加を拒んだことがチームの和を乱したと考えている。来季の戦力とはみなしていないようだ」と伝えた。

市場価値が入団時の半分にまで下落する中で

 監督は、かつてポルトでも活躍した名MF。2017年、監督に就任してこれが2度目のリーグ優勝で、しかも二冠を達成したとあって、クラブ内の立場を盤石にしていた。その監督が中島を戦力と考えていないのであれば、チームに中島の居場所はない。

 多くの地元メディアが「ポルトは、中島を売却するか期限付き移籍させるかの二者択一を迫られている」と報じた。しかしこの時点で、中島の市場価値は1200万ユーロ(約9億4000万円)と入団時の半分にまで下落していた。

 ポルトとしては、投資した金額をできるだけ回収したい。しかし、それは極めて困難な状況とあって「中島はポルトの不良債権。クラブにとって、頭痛の種だ」という声まであった。

【次ページ】 昨季は中島が定位置を奪回するかに見えたが

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