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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
《45億円移籍から2年》中島翔哉が「ポルトの不良債権」扱い… 50試合で14得点7アシストしたライバルとの明暗
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGlobal Imagens/AFLO
posted2022/01/09 17:00
19-20シーズンの中島翔哉とルイス・ディアス。2人の境遇と市場価値には大きな差がついている
2020年8月末、ポルトのプレシーズンの練習が始まり、中島の姿もあった。3カ月半ぶりの練習参加である。地元メディアは「コンセイソン監督の中島への“お仕置き”が終わったようだ」と報じた。
ところが、その後、中島の練習参加について聞かれた監督は「今、ナカジマがここにいるのはチームメイトが望んだから」と語った。つまり、監督が望んだことではないと言うのである。そして「技術的に、彼は素晴らしいものを持っている。しかし、フットボールは技術だけでするものではない」、「チームにとって最も重要なのは、ハーモニーだ。彼がそれを再び乱すようなら、ここに留まることはできない」と厳しい口調で語った。
昨季は中島が定位置を奪回するかに見えたが
2020-21シーズンが開幕すると、2列目左サイドで先発するのは、やはりディアスだった。それでも中島は10月24日のリーグ戦で先発し、左サイドを突破してクロス。CFが蹴り込み、これが決勝点となった。チームメイトから祝福を受けると、中島は久々に笑顔を浮かべた。
その直後の欧州CLの試合でも、途中出場で得点につながる絶妙のスルーパス。苦手の守備でもスライディングタックルを見せるなど奮闘し、勝利に貢献した。
一方、ディアスはほとんどの試合で先発していたが、好不調の波があり、途中交代を命じられることが少なくなかった。中島にもレギュラーポジションを奪い取る可能性はありそうだった。
ところが、その後の試合では、短い出場時間で違いを作り出すことができない。12月5日のリーグ戦で途中出場したのを最後に、ベンチにも入れなくなった。
このような状況で、2021年1月、ポルトは中島のアルアイン(UAE)への半年間の期限付き移籍を発表。コンセイソン監督は「彼にはかなりチャンスを与えたが、結局、チームに馴染めなかった」と説明した。
後編では、ポルトを追われた中島の軌跡を追い、彼の今後を展望する。<続く>