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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
“解任を14回も味わった”呂比須ワグナー52歳「精神的に立ち直るのに2年かかった」 ガンバでの挫折後も監督業を続けるワケ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2022/01/11 11:01
インタビューに応じてくれた呂比須ワグナー
「いや、それはない。ブラジルでは、クラブの役員が監督からの要望を安請け合いしておいて、それを果たさないことが珍しくない。その点、日本人は非常に誠実だから、ブラジルより仕事がしやすいかもしれない」
ライセンス問題は全く予想していなかった
――ガンバ大阪から監督のオファーを受けたとき、自分ではライセンスの問題で就任できない可能性を察知していたのですか?
「いや、全く予想していなかった。過去に、指導経験がないブラジル出身の元選手がJリーグのクラブの監督を務めた例があったので、自分も問題ないと思っていた」
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――その後、ブラジルでの監督ライセンスを取得したのですか?
「2014年にブラジル1部の監督を務めることができるAライセンスを、2017年にプロ(ブラジルサッカー協会が提供する最上級ライセンス)を取った。これ以外にも、大学などでスポーツビジネス、心理学などの講座を履修している」
――理想とするチームのスタイルは?
「できるだけ高い位置から連動してボールを奪い、素早い攻守の切り替えから貪欲に相手ゴールを目指す攻撃的なスタイル。ただし、現実には選手の成長を促しつつ、選手のタイプと能力に応じて勝利への近道を探す」
――これまで監督として手にしたタイトルは、コパ・パウリスタとゴイアス州選手権の2つ。まだブラジルリーグ、コパ・ド・ブラジルなどのビッグタイトルは手にしていません。今後、大きなタイトルを手にするには何が必要だと感じていますか?
「戦術、チームマネジメントの方法、効果的な練習方法の考案など、多くのことを学び続けようと思っている」
――これまで監督として歩んできた12年間で、延べ22ものクラブを率いています。これはいかにも多いと思うのですが……。
「別のクラブからオファーを受けて自ら退任したこともあれば、解任されたこともある。ブラジルでは、成績不振の原因をすべて監督に押し付ける文化があるからね」
(注:退団した理由の内訳は、成績不振による解任が13回、自己都合による退任が7回、クラブ首脳による選手起用への介入を拒んで解任されたケースが1回)
一番ショックだったのはガンバで解任されたとき
――プロクラブの監督には、解任がつきもの。「監督には2種類ある。すでに解任された者と、これから解任される者と」などと言われます。あなたの場合、実際に監督の職にあったのが7年10カ月で、次のクラブが決まるまでの浪人期間が4年2カ月。平均すると、1クラブあたりの在任期間が4.3カ月で、浪人期間が2.4カ月です。解任されると大きな衝撃を受けると思うのですが、そこからどうやって立ち直るのですか?