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《大学ラグビー選手権》今年のキーワードは大田尾監督が発した「プレッシャーゲーム」優勝争いの中心にいる“早明帝”の現在地
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/17 17:00
早大・大田尾監督が「プレッシャーゲームで必ずやってくれる」と期待するNo.8佐藤健次(1年)。早明戦ではプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出された
一方で、早明戦で優勢を予想された明治は、意外にもおとなしかったーーというのが正直な感想だ。
強い時の明治は、プレッシャーゲームとなると、相手に対し、常にも増してかさにかかって攻め立てたものだが、こと早明戦に限っては「やんちゃさ」が鳴りを潜めているように思えた。
トライは、カウンターに出た早大のボールを奪い、反撃に転じた前半のひとつのみ。明大の生命線であるスクラム、ラインアウトからの攻撃での精度を欠き、わずか7点に抑えられた。
今季の明治の悩みは、チャンスを仕留め切れないところにある。7点差で敗れた帝京戦でも攻め込みながら、トライに至らない。
1980年代、1990年代の全盛期の明治には、戦術が徹底していた。FWで行くときは、徹底的にFWで行く。現在の明治はBKにも才能を抱え、展開してもトライを取れるだけに戦術の徹底が難しいのかもしれない。
大学選手権での明治の初戦は、昨季の準決勝で15対41と大敗を喫した天理。天理はディフェンディング・チャンピオンではあるが、中心となっていた4年生が抜け、今季は土台から作り直している状況。関西リーグでは京都産業大に優勝を譲り、3位に甘んじたものの、リーグ戦最終戦の同志社戦ではラストプレーで逆転勝ちするなど、プレッシャーゲームを勝ちに結びつけている。
花園ラグビー場で行われる明治と天理の対決、天理のホームゲームの雰囲気になることが予想されるだけに、明治としては油断大敵。
そしてこの試合の勝者が、12月26日(日)に秩父宮で早稲田と対戦する。