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「大谷翔平の無駄遣い」をしないために、エンゼルスには“大型補強”が必要だ…“二刀流”ロレンゼンなど注目の新戦力はどんな選手?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2021/12/05 17:02
リーグMVPを獲得した大谷翔平。エンゼルスの来シーズンを左右する補強内容は……
シンダーガードは、2020年3月に受けた右肘のトミー・ジョン(側副靱帯再建)手術のために過去2年、わずか2試合2イニングしか公式戦で投げていない。キャリア通算でも47勝(31敗)、防御率3.32という投手だが、「健康でありさえすれば、エース級の成績を残せるかも?」という期待に溢れている。それは彼が22歳だった2015年に9勝を挙げてチームのナ・リーグ優勝に貢献し、最優秀新人の投票でも4位に入ったことや、翌2016年の14勝9敗、防御率2.60というキャリア最高成績を挙げた過去が、余りにも鮮烈だったからだろう。
ロレンゼンはどうか。シンダーガードと同じ2015年にデビューし、先発投手としては2015年に21試合が最多で、その後は2018年の3試合が最多と心許ない。キャリア通算では23勝23敗14セーブ、防御率4.07という投手なのだが、2019年に救援投手として73試合に登板して1勝(4敗)7セーブ、防御率2.92と活躍したイメージが強く、新天地では「先発の柱」に定着することが期待されている。
シンダーガードとロレンゼン両投手の補強がどう転ぶのかは別にして、エンゼルスにとっての大きな問題は、彼らと同地区のライバル球団がエンゼルスをしのぐ勢いで補強に乗り出していることだ。彼らがいくら頑張っても、ライバルたちが今季以上の戦力を上乗せすれば、追いつかない。
ライバル球団たちの“大補強”の内容とは?
まず、ア・リーグ西地区王者のアストロズが、シンダーガード同様、トミー・ジョン手術上がりのエースで、今季登板がなかったジャスティン・バーランダーと再契約に合意し、さらにフィリーズの元クローザー、ヘクター・ネリスとも2年契約に合意したと伝えられている。
エンゼルスにとって何よりも気になるのは、彼らの先を行くマリナーズと、後から追いかけてくるレンジャーズの動向だ。
マリナーズは今オフ、まずジェリー・デポート編成本部長が、「昨夏のトレード期限から狙っていた」というアダム・フレイザー内野手を、トレードで獲得した。フレイザーは2021年、パイレーツとパドレスで打率3割+36二塁打、5三塁打、5本塁打、10盗塁と機動力を発揮した選手で、投高打低の傾向があるマリナーズの本拠地球場に適した選手だ。続いて今季、ア・リーグのサイ・ヤング賞投手となった左腕ロビー・レイ投手(前ブルージェイズ 5年総額1億1500万ドル)を獲得した。
一方のレンジャーズは、先発のジョン・グレー投手(前ロッキーズ 4年総額5600万ドル)、元エンゼルスのコール・カルフーン外野手(前ダイヤモンドバックス 単年520万ドル)、さらに今季ア・リーグのMVP候補だったマーカス・セミエン二塁手(同ブルージェイズ 7年総額1億7,500万ドル)と、今オフのFA市場の目玉選手と見られていたコリー・シーガー遊撃手(同ドジャース 10年総額3億2500万ドル)を次々と獲得した。