メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平の無駄遣い」をしないために、エンゼルスには“大型補強”が必要だ…“二刀流”ロレンゼンなど注目の新戦力はどんな選手?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2021/12/05 17:02
リーグMVPを獲得した大谷翔平。エンゼルスの来シーズンを左右する補強内容は……
FA選手を乱獲したからと言って、来季の順位が保証されるわけではないが、予想に反して12月1日の労使協定期限を前に過去にないほどFA市場が活発化し、マックス・シャーザー投手(今季ナショナルズとドジャース)や、ケビン・ゴーズマン投手(今季ジャイアンツ)らのエース級投手がメッツやブルージェイズと長期契約した。
大谷の“無駄遣い”をしないためにエンゼルスがすべきこと
経営者側と選手組合が新しい労使協定の締結に合意できずロックアウトに突入する中、エンゼルスは前出の2人の先発投手だけではなく、今季メッツで65試合(2先発)に投げて6勝無敗、防御率0.95の救援左腕アーロン・ループ(2年 1700万ドル)を獲得し、クオリファイング・オファー(QO)を拒否してFAになったライセル・イグレシアス投手(4年 5800万ドル)と再契約して「2021年よりは上」のはずなのに、マリナーズやレンジャーズが大型補強したことで、何となく「充分ではないかも?」と不安になる。
FA市場にはまだ、通算3度もサイ・ヤング賞を獲得(2014年はナ・リーグMVPとのダブル受賞)したものの、過去数年は怪我に苦しんでいる左腕クレイトン・カーショウ投手(今季ドジャース)や、2009年の同賞ザック・グリンキー投手(同アストロズ)らが残っている上に、今季ノーヒッターを達成した左腕カルロス・ロドン投手(同ホワイトソックス)や、ロレンゼン同様、先発も救援もできるコリン・マッキュー投手(同レイズ)、菊池雄星投手(同マリナーズ)らが残っている。
就任2年目を迎えるエンゼルスのペリー・ミナシアンGMは来オフ、総額400億円確実とも言われる大谷との再契約/契約延長という難題に答えを出すことを求められているが、その前に「来季の結果」が大事になる。
2004年にレッドソックスを86年ぶり、2016年にカブスを108年ぶりのワールドシリーズ優勝に導いたセオ・エプスタイン元編成本部長はかつて、こう言ったことがある。
「究極の目標であるワールドシリーズに優勝する最良の方法は、毎年、プレーオフに進出することなのです」
今年のメジャーリーグ王者となったブレーブスは、4年連続ナ・リーグ東地区優勝中。ブレーブス相手に健闘したア・リーグ王者のアストロズは、4度のア・リーグ西地区優勝を含む5年連続プレーオフ進出中だ。
4年連続4位のエンゼルスが、いきなりそのレベルに達するのは簡単なことではない。しかしもうこれ以上「MVPの無駄遣い」をしないためにも、ロックアウト解除と共に、ミナシアンGMが再びその手腕を発揮することを期待したい――。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。