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“大阪桐蔭史上最高のキャプテン”→慶應大主将・福井章吾が掲げた意外な目標とは?「最後は甲子園で優勝できたら」 

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高木真夢

高木真夢Mamu Takagi

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/12/03 11:00

“大阪桐蔭史上最高のキャプテン”→慶應大主将・福井章吾が掲げた意外な目標とは?「最後は甲子園で優勝できたら」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

圧倒的なリーダーシップで慶應大をまとめた福井章吾捕手(大阪桐蔭卒)。卒業後はトヨタ自動車に進み、新たな目標へ向けて走り出す

 高校に入るまでは他の選手と同じように「プロ野球選手になる」という夢があった。しかし、西谷監督の下で練習に打ち込んでいるうちに、スタメンやメンバー外という立ち位置に関係なく選手に接する姿や、技術指導はもちろん人間的な部分を大切にする指導法に心惹かれた。野球への恩返しの方法は最前線でプレーをすることだけではないと考えるようになったという。

「指導者として次の世代に何かを受け継いでいくということもひとつの恩返しの形かもしれない。僕も西谷先生のような指導者になりたい」

 そんな夢を抱く福井を4年間見守ってきた慶應大の堀井監督も大きな期待を寄せる。

 今年の大学選手権後のインタビューでは福井のことを「もともと身に付いたものでリーダーの役割を果たしていける生粋のリーダー」と言った。主将となって名実ともにチームを引っ張る立場になっても、それを負担に感じるどころか、「自分の力を発揮する場だ」「自分のステージだ」と前向きな気持ちをプレーや言動で表現できるところを高く評価。「今すぐに監督になってもいい」とも話し、指導者の条件のひとつである「アンテナを張り巡らせてチームの状況や人の気持ち、状態をキャッチすること」が現時点で高いレベルにあると太鼓判を押す。

西谷監督からもらった「福井力」という言葉

 高校時代は“大阪桐蔭史上最高キャプテン”と呼ばれた。

 主将になったばかりの頃は「打って投げて守って走って頑張ろう」とプレーで引っ張ることを一番に考えていたが、新チームで迎えた秋の大会終了後に主将という仕事の難しさを知った。なぜ自分がキャプテンに選ばれたのかを深く考え直したところ、私生活の部分、コミュニケーションの部分が誰にも負けていないという長所に気づき、そこからはより野球以外の部分にフォーカスをあててチームを束ねていった。

 自分と向き合い、自身もチームもより良くするために必要なことを考え、記し続けた野球ノートは高校時代だけで10冊に及ぶ。西谷監督の「キャプテンでチームは変わる」という言葉を心に刻み、バッティンググローブには「主将力」の文字を記した。

 常にチームファーストの精神を貫いた姿勢を西谷監督もしっかりと見ていた。高校野球最終日には、野球ノートの最終ページに「福井力」という言葉を書いてもらった。福井は「認められている気がした」と今でもその言葉を大事に心にしまっている。

【次ページ】 慶應大で伝え続けた「一戦必勝」

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