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“大阪桐蔭史上最高のキャプテン”→慶應大主将・福井章吾が掲げた意外な目標とは?「最後は甲子園で優勝できたら」
posted2021/12/03 11:00
text by
高木真夢Mamu Takagi
photograph by
Yuki Suenaga
春季リーグ優勝、全日本大学選手権優勝、秋季リーグ優勝――。
2021年、東京六大学野球連盟に所属するチームとして史上初の年間タイトル四冠に王手をかけていた慶應大。主将として、部員173人がひとつの目標に向かってそれぞれの持ち場を全うする理想的なチームを作り上げたのが福井章吾捕手(4年)だ。
学生野球ラストステージとなった明治神宮大会では、決勝戦で中央学院大(関東五連盟第1代表)に惜しくも8-9で敗れ、“大学四冠”を成し遂げることはできなかったが、試合後にベンチに引き上げる最後の最後までチームメートを思いやり、そして初優勝を達成した対戦相手に敬意を表していた。
目標は「監督として日本一」
慶應大には正木智也(ソフトバンク2位)や渡部遼人(オリックス4位)といったプロ野球に進む選手がいるが、福井はアマチュア野球最高峰の舞台である社会人野球の強豪・トヨタ自動車に進む。
堀井哲也監督が「彼の一番の特徴は打者としての能力が高いこと」と評するようにバッターとしての能力はもちろん、捕手として投手の力を引き出す能力も申し分ない。それに加えて、主将としてチームを束ねる統率力も突出している。野球選手としての能力もあって人間性も素晴らしいとくれば、当然プロ野球を目指していてもおかしくないのだが、福井は将来の夢に「監督として日本一を達成すること」を掲げている。
「高校3年生の頃に、周りにいるすごい選手たちを目の当たりにして、プロへの道は無理だと確信しました。ただ、指導者になるためにはプレーヤーとしてのキャリアが必要不可欠なので、社会人野球での経験は必要だと思いました。大学とは違いトーナメント(一発勝負)であるため、大学野球以上に野球の奥深さを知ることができると思います」
原点には「人生を変えてくれた恩師」と尊敬して止まない大阪桐蔭高・西谷浩一監督との出会いがある。