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京大医学部、最速152キロ、身長194cm⋯“伸びしろしかない”ピッチャー・水口創太が語る半生と進路「医師になるのは違うんで」
posted2021/12/02 11:01
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph by
Takahiro Kikuchi
京大医学部に身長194センチの最速152キロ右腕がいる。
そんな事実を知れば、多くの野球ファンは「医師と野球選手のどちらを選ぶのだろう?」と思うに違いない。
医師になるのは「違うんで……という感じです」
ただし、その大型右腕・水口創太はたしかに京都大学の医学部に在学しているのだが、学科は人間健康科学科。看護師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師などの人材を養成する学科で、水口は理学療法士の国家資格取得を目指している。難関なのは間違いないが、水口本人は困ったように苦笑しながらこう言う。
「『医学部』と記事に書かれると医師になると思う人がほとんどだと思うんですけど、それは違うんで……という感じです」
もともと理学療法の分野に興味があったという。滋賀の進学校・膳所から一浪を経て京大に進学し、今年で3年目。リリース位置の高さは平均190センチを計測するように、角度のあるストレートを武器にする。来年のドラフト候補として名前は挙がるものの、現時点では関西学生リーグ通算1勝と確固たる実績があるわけではない。
取材をするには早すぎるでしょうか、と監督(取材時/11月から総監督)の青木孝守に聞くと、こんな答えが返ってきた。
「いや、水口は『俺が俺が』と自己主張するタイプではなく、のんびりした子なので。本気でプロや社会人でやりたいなら、本人にプレッシャーをかけたほうがいいのかもしれません」
幼少期から「野球か勉強かのどちらかにしたくなかった」
京大野球部といえば、2014年ドラフト2位でロッテに入団した田中英祐という先人がいる。大学時代を知る青木は「田中は3~4回生の頃には完成されつつあった」と振り返りながら、水口についてはこう評した。
「水口はおそらく遅咲きですから、しっかり体をつくっておけば24~25歳の頃にはもっとボールは速くなっているんじゃないですか」