3歳時のインタビューで本当に良くなるのは来年とお答えしましたが、そういう姿になりました。ただ、若駒時代からある両前脚の球節付近の不安も、古馬になったら固まってくれると期待していたんですが、そこはまだ完全に払拭できたわけではありません。栗東に来るといい意味でもそうでない意味でもスイッチが入ってしまう馬なので、ここからの1カ月がまさに勝負です」と、指揮官は表情を引き締める。

コントレイルのベストは「左回りのワンターン」

　来年からは、ディープインパクトの後継の決定版として種牡馬デビューが決まっており、我々がコントレイルの走りを見ることができるのはこの秋限り。天皇賞・秋には、またしても快速牝馬グランアレグリアなど、強敵がぞろりと待ち構えている。

「牝馬が世界的に強くなったのは、調教技術と飼料の進化の成果だと思います。パフォーマンスが上がることでカイバ食いが難しくなるのはほとんどが牝馬ですから、飼料の進化の恩恵はほぼそちらに向いていますからね。私自身、リスグラシューでその恩恵にあずかっていますし、もちろん歓迎すべき進化です。それでも、牡馬は牡馬でその力強さを見せつけなければいけません」

　矢作師は天皇賞にかける強い意欲を「コントレイルのベストは左回りのワンターン」との分析で示してくれた。天皇賞－ジャパンカップ－有馬記念と王道を進むとして、指揮官が言うベスト舞台に当てはまるのは天皇賞しかない。「牝馬の時代」を穿つ、激アツの秋初戦を決して見逃せない。

©Keiji Ishikawa

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