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“外れドラ1→最強打者”山田哲人と村上宗隆、苦労人・高津監督が見せた「ヤクルトらしい強さ」とは《2年連続最下位からセ制覇》
posted2021/10/27 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kyodo News
<名言1>
僕はトリプルスリーより、チームを勝たせる仕事を大事にしたいと思っているんです。
(山田哲人/Number960号 2018年8月30日発売)
◇解説◇
2010年のドラフト会議。東京ヤクルトスワローズは1巡目指名で斎藤佑樹を指名した。しかし抽選は外れ、外れ1位指名の塩見貴洋でも再び交渉権を逃す。いわゆる「外れ外れ1位」での指名となったのが、履正社高校に在籍していた山田哲人だった。
そんな山田が、このドラフトにおける「最大の成功例」となったのは、知っての通りだ。高卒ルーキーながらCSで先発出場を果たし、2、3年目に着実に実力を育み、4年目で打率.324、29本塁打、15盗塁をマーク。そして2015年、2016年と2年連続、2018年には3度目となるトリプルスリーを達成した。
メジャーリーグでも3度のトリプルスリーを達成したのは、バリー・ボンズただひとりという大偉業である。
しかし、山田は「誰もやったことがないという結果には、すごく満足します」としつつ、このように語っていたことがある。
「べつにトリプルスリーを目指していたわけではないんです。プロ野球選手になって、でっかくなりたいとか、日の丸を背負いたいとか、そんなざっくりした感じだったんで……」
それ以降は“ああすればよかった”と
それは、自身初のトリプルスリーとなる2015年の経験があるからだ。
「初めてトリプルスリーを達成したときにはチームも優勝して、すごく満足感がありましたが、それ以降はもうああすればよかった、こうしたほうがよかったと思うことがいっぱいありました」
満足するにはチームの勝利が不可欠である。それを知っていた山田だからこそ、近年のヤクルトの停滞には思うところがあったのだろう。しかし国内FA権を得た2020年にはFA権を行使せず、7年の長期契約で残留の道を選んだ。迎えた2021シーズン、主に3番打者を任された山田は34本塁打を放ち、村上宗隆らとともに強力打線を形成。再びリーグ制覇の原動力となった。