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紀平梨花が怪我でグランプリファイナル絶望的…五輪出場のために“必要なこと”とは? 語っていた“ぶっつけ本番”への葛藤と本音
posted2021/10/20 17:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Aasami Enomoto
10月19日、紀平梨花は、フィギュアスケートのグランプリシリーズ第2戦「スケートカナダ」(10月29~31日)の欠場を発表した。紀平にとって、同シリーズ初戦であった。
同時にシーズン最初の試合でもあった。当初は10月14日から16日にかけて中国・北京で行なわれた「アジアンオープントロフィー」に出場する予定だった。オリンピックの会場で事前に大会を開いてチェックする「テスト大会」としての開催だったが、9月に新たな拠点であるカナダ・トロントのクリケットクラブへ移ったこと、コロナにより移動が容易ではないことから、欠場を発表していた。
「現在の私の拠点であるカナダから中国への移動による負担を考慮し、苦渋の決断ではありましたが、照準をスケートカナダに合わせ集中したいと考え決意しました」
だが、スケートカナダも欠場をよぎなくされた。右足首痛が原因だった。
「今年7月より痛めていた右足首の『骨軟骨損傷』が完治に至っておらず、スケートカナダへの出場を断念することに致しました。今後の試合に向けて治療、リハビリに専念致します」
オリンピックシーズンの本格的なスタートを前に、思いがけないアクシデントに襲われることになった。また、グランプリシリーズは、スケートカナダと11月12日からのNHK杯にエントリーしていたが、グランプリシリーズは1戦のみの出場となったことで、グランプリファイナル進出が困難になったこと、何よりも北京五輪代表選考への影響が憂慮されている。
紀平はケガと戦ってきた選手
ただ、振り返れば、今回に限らず、紀平は怪我と戦ってきた。
最近で言えば、昨シーズン後半に腰を痛め、世界選手権ではそれが響き、フリーで思うようにジャンプが決まらず7位にとどまった。続く世界国別対抗戦はショートプログラム後に「歩けないほどの痛みがあって」、「最悪は棄権も考えました」と言うほど悪化する中での試合となった。
その影響は長引くことになった。