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「完璧とはいかなくとも…」宇野昌磨がスケートアメリカで挑んだ“4回転5本”「23歳でも決して若くない」からこその“覚悟の演技”だった
posted2021/10/25 17:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
攻めた。そして耐えた。
10月22日から24日にかけて、フィギュアスケートのグランプリシリーズ第一戦、スケートアメリカ(ラスベガス)が行なわれた。宇野昌磨はショートプログラム2位、フリー3位、優勝したヴィンセント・ジョウ(アメリカ)に続く総合2位でグランプリ初戦を終えた。
「今日までの練習が、間違いなく生きた」
「大会で海外に行くのがすごく懐かしい感じです。試合に楽しみな気持ちもあるんですけど、自分が練習してきたものを少しでも見せられたらと思います」
試合へ向けての心境を明かし、迎えたショートプログラムは『オーボエ協奏曲』。冒頭の4回転フリップは2回転になり無得点となったが、4回転トウループ-トリプルトウループの連続ジャンプは綺麗に決める。最後のジャンプとなる3つ目のトリプルアクセルも成功。得点は89.07点。
「4回転トウループのコンビネーションも数年……2、3年ぶりにちゃんと着氷することができましたし、その後のアクセルも綺麗に跳ぶことができました。少なからず今日までやってきた練習が、間違いなくこの試合に生きた部分もあります。まだまだ自分の100%の力を発揮できなかった部分は今後の課題です」
一定の手ごたえを得て迎えたフリーは『ボレロ』。
冒頭から4回転ジャンプが3つ続く。最初のループは手をついた。サルコウは着氷が乱れる。
そこから踏みとどまった。4回転トウループ-ダブルトウループ、トリプルアクセルは着氷。後半のジャンプも完璧とはいかなくとも、耐えた。得点は181.61点。総合270.68点の結果を残した。
フリーでは4回転ジャンプ4種類、計5本
出場した選手の中には、大会5連覇のかかっていたネイサン・チェン(アメリカ)もいた。その中での成績をこう評した。
「正直、この選手たちの中で2位というのは光栄です。ただ、自分の求めているレベルには達していない、到達していないことを再確認しました」
自分の求めているレベル――シーズン開幕を前に、宇野は語っている。
「今までスケートをやって来て、いちばん難しい構成になると思っています」