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宇野昌磨「彼(鍵山優真)に尊敬されてるからこそ」…2人とも4回転“4種類5本”を目指すワケ<ゲームも一緒にする仲に>
posted2021/10/12 17:01
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto(L), AFLO(R)
2022年北京五輪に向けた、日本男子2人が「4回転ループ」をめぐる新たな冒険をスタートさせた。10月2日に開かれたジャパンオープンでは宇野昌磨が4シーズンぶりに4回転ループを入れる構成に挑み、また同期間に行われた関東選手権では鍵山優真も4回転ループに初挑戦。これは決して偶然ではなかった。
2人がお互いを意識しはじめたのは、今年1月のアイスショーの公式練習中だった。鍵山は「4回転ループは5種類の4回転のなかでも一番難しく、試合で入れている人は羽生結弦選手くらいしかいない。だからこそ僕もループをやってみたい」と練習をしていたが、なかなかコツを掴めずにいた。すると宇野も4回転ループを練習しており、その跳び方を見て驚いた。
宇野の跳び方で挑戦すると3週間ほどで…
羽生の跳び方は、助走のスピードを使って、跳び上がりながら回転を起こす。滑る方向と上がる方向の力加減が合わないと1回転になるリスクがあるが、タイミングが合えばスピードや高さのある美しいジャンプになる。
一方、宇野は右足でターンをして先に回転軸を作ってから跳びあがる。1回転になるようなミスはないが、飛距離が出ないため4回転にはわずかに回転が足りなくなることが多い。
ハイリスク&ハイリターンとなる羽生の跳び方に比べて、大きな失敗は少ない宇野の跳び方で挑戦。するとわずか3週間ほどで成功させた。
「ステップアウトすることはあっても転ぶ回数は少なくなってきました。感覚もつかめてきています」
その後、3月の世界選手権ではもともと習得している4回転2種類をきっちりとまとめる演技で、銀メダルを獲得。結果としては快挙だったが、優勝したネイサン・チェンが「4種類5本」に、そして羽生と宇野が「3種類4本」に挑む戦いのなかで、自分は真の戦いに加われていないと感じた。