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樋口新葉は成功して1位、坂本花織は入れず4位も「伸びしろしかない」…北京五輪代表を懸けたトリプルアクセルの取捨選択
posted2021/10/10 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
10月2日、さいたまスーパーアリーナでフィギュアスケートのジャパンオープンが行なわれた。
コロナの影響のもと、昨年に続き日本の選手によるチーム対抗戦という形式での実施となり、男女それぞれ6名が出場。例年のようにフリーのプログラムのみでの試合だったが、女子の選手たちの演技で目についたのは、トリプルアクセルへの取り組みだった。136.27点で女子1位の得点をあげた樋口新葉、135.12点で2位の松生理乃、134.91点で3位の河辺愛菜と上位3名がプログラムの冒頭で挑み、6位の宮原知子もプログラムに組み入れた。
樋口が鮮やかに決めて河辺も成功。松生は回転不足、そして宮原は転倒と成否はさまざまだったが、6選手中4選手が跳んだことになる。出場した選手が異なるから単純には比較できないが、昨年の大会では2名だったことを考えても、際立つ数字だ。
樋口は中学時代からトリプルアクセルに挑み、2017年の世界国別対抗戦の公式練習で着氷。試合では2020年の四大陸選手権で初めて挑んだ。習得する意思を保ちながら、ついに試合できれいに決めてみせた。その根底には、中学時代からの「点数を獲るためには高難度のジャンプを」という意識がある。
世界ではもはや必須のトリプルアクセル
10月10日に17歳の誕生日を迎える2位の松生は、シニアになった今シーズン、トリプルアクセルに各試合で挑んできた。中部選手権後にはこう語っている。
「跳べるようになって、曲に入れないと世界では戦っていけないので、習得してどの試合でも挑戦したいです」
松生と同学年で昨シーズン、シニアになり、ジャパンオープンでは3位だった河辺は2019年11月の全日本ジュニア選手権以来の成功だった。
「この大会で少し自信がつきました。北京を目指して頑張りたいです」
一方、着氷できなかったものの、初めて試合でチャレンジした宮原は言う。
「(これからの試合でも)できるだけチャレンジしていきたいです」
選手にはそれぞれのスタンスがあるが、共通しているのは、いかにしてより上位へ進むか、その観点から取り組んでいることだ。