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今季のカープ低迷の要因!? リードオフマン野間峻祥の負傷離脱を招いた、3連覇のチームにはなかった“欠如”とは 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2021/09/27 17:02

今季のカープ低迷の要因!? リードオフマン野間峻祥の負傷離脱を招いた、3連覇のチームにはなかった“欠如”とは<Number Web> photograph by KYODO

後半戦は1番に定着し、チームを牽引してきた野間だけに、その離脱の影響は大きい

「試合に出るか」「二軍で調整するか」とともに、「何日でコンディションが戻るのか」という選択肢があっても良かったのではないか。または休ませながらでもトップバッターとしてシーズンを完走できれば、大きな経験となったはずだ。野間個人だけでなく、22年シーズンのチームづくりをする首脳陣にとっても懸案事項をひとつ減らせることになったはずだ。

 シーズン100試合を超えれば、万全のコンディションでプレーできている選手などいないだろう。「最近は選手に甘い」というOBや首脳陣の声も耳にする。ただ、個人的には、広島が3連覇できた最大の要因は、現有戦力の能力を最大限に生かすことができたからだと思っている。

 3連覇時、主力の長期離脱はなかった。17年の鈴木誠也の右足首骨折など防ぎようのない試合中の突発的なアクシデントはあっても、筋肉系の負傷離脱は未然に防いでいた。だが、今年は4月に開幕から3戦2勝0敗、防御率0.89だった大瀬良が登板前日の調整でふくらはぎを痛めて離脱。5月には正捕手会沢翼が「下半身のコンディション不良」で離脱となった。

 エースであり、投手主将の離脱に続き、正捕手でありチームの精神的支柱の離脱は大きな戦力ダウンとなった。主力の離脱は「マイナス1」以上のダメージがある。冒頭に今季の分岐点と記したように、エースの離脱を機にチームの歯車が狂い始めた。

首脳陣と選手、トレーナーの関係性

 いなくなってあらためて、存在の大きさに気付かされ、早期復帰を望む。選手も当然、1日でも早く戦列に復帰してチームのためになりたいと願うものだ。だが、早く復帰することがすべてではない。大瀬良は再昇格後、復帰初勝利まで登板8試合を要し、会沢は再登録後わずか13日後に再び負傷離脱となった。

 もちろん、すべてを防げたかは分からない。いずれは肉体が限界に達していたかもしれない。ただ3連覇時は、再登録10日未満でコンディションが戻るならば、主力クラスは一軍に置いた。周囲から不可解な欠場と見られても出場選手登録を抹消せず、「コンディション不良」と理由を隠してでも首脳陣とトレーナーが選手を守った。そこには首脳陣と選手、そしてトレーナー、三者間の絶妙な関係性があった。

 アスリートは本能として、首脳陣にコンディションの不安を伝えない。首脳陣は常にベストメンバーで臨みたいが、選手の本音は探れない。トレーナーは対話と施術で誰より選手の体を知り、選手個々の立場や状況を把握した上で、ときには先を見据えた選手起用を首脳陣に進言することもあった。

 今季、選手、首脳陣、トレーナーの三者間の連携がとれているのか――。3連覇時と違い、今は出場登録抹消の理由を単に「コンディション不良」としているだけではないか。それは選手を守ることにはならない。戦術や戦略の前に、できることはある。

 最下位に終われば、05年以来16年ぶりの屈辱となる。首脳陣から選手の力不足を指摘する声も聞かれるが、最下位になる戦力だとは思わない。辞退した会沢を含め、5選手が東京五輪日本代表候補に選ばれ、台頭した若手もいる。「隣の芝が青く見える」のは他球団も同じ。他球団から見れば、広島の芝もきっと青い。

 与えられた戦力を最大限に生かす鍵は、チームの連携構築にある。それこそ、佐々岡広島が掲げる“一体感”ではないか。

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