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今季のカープ低迷の要因!? リードオフマン野間峻祥の負傷離脱を招いた、3連覇のチームにはなかった“欠如”とは

posted2021/09/27 17:02

 
今季のカープ低迷の要因!? リードオフマン野間峻祥の負傷離脱を招いた、3連覇のチームにはなかった“欠如”とは<Number Web> photograph by KYODO

後半戦は1番に定着し、チームを牽引してきた野間だけに、その離脱の影響は大きい

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 セ・リーグの最下位に低迷する広島にとって、分岐点となったのは開幕間もない4月15日だっただろう。当日の試合、0−4で敗れた阪神戦ではない。試合前練習でのエース大瀬良大地の負傷にある。そして、シーズン終盤となった9月22日、野間峻祥がまた負傷離脱となった。主力クラスの負傷離脱は今季3人目。ただ、少なくとも今回の離脱は防げたのではないか。そして、それを招いた体制が今季の戦いを苦しめている一因ではないか、と感じている。

 野間の抹消理由は球団から「下半身のコンディション不良」と発表されたが、「コンディション不良」は数日前から明らかだった。

 19日ヤクルト戦の5回、第3打席の5球目をファウルにした直後、トレーナーがかけつけるシーンがあった。ベンチ裏に引き上げながらも打席に戻り、安打を放ったものの、直後の守備からベンチに下がった。翌日はスタメン落ち。ベンチ入りしながら最後まで出場機会はなく、出場に向けた準備もしなかった。

 遅くとも、その時点で「下半身のコンディション不良」を抱えていたということだろう。宿舎へ引き上げる際には、ハーフパンツの下からはテーピングを巻いた左太ももが見えた。

 20日の1試合を欠場し、21日はチームメートとともに朝東京から広島に移動して、巨人戦を迎えた。

 野間に与えられた選択は、2つだった。

「試合に出るか」。それとも、「二軍で調整するか」。

 後者を選択する選手がいるわけがない。当然、野間も前者を選び、「1番中堅」で先発出場した。

 1回の1打席目に四球を選び、3回の第2打席は中前打を放った。そして迎えた第3打席、右翼頭上を襲った打球はフェンス際で巨人ハイネマンの好捕に阻まれた。その直後に交代。おそらく、越えれば長打となる当たりに加速しようと力を入れたときに、異変が生じたのだと思われる。

第3の選択肢はなかったか?

 負傷離脱のリスクを負ってまで出場させた意図が見えない。野間は控え選手ではなく、7月10日から1番に固定され、打線のけん引役を担っていた。

 打順が固定されないチームの中、1番を任された36試合で打率2割9分3厘、出塁率3割4分2厘、5盗塁、15得点。チームトップクラスの脚力に、中堅の守備の安定や送球面の改善も見られる。さらに今季は1打席あたりの被投球数(=1打席あたりにどれだけの球をピッチャーに投げさせたか)はチームでは西川を上回りトップの数字を残していた。規定打席に到達した18年から苦しいシーズンをへて、期待の逸材がようやく覚醒したように思えた。

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