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《ドラ1確実の高評価》最速157km右腕・風間球打(明桜) プロ野球スカウトが見た「現時点での3つの課題」とは
text by
間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2021/08/23 17:02
現状の課題を突かれて、明徳義塾の前に屈した風間球打。ただしそのポテンシャルの高さはプロも認めるところだ
風間はチームを勝利に導くことはできなかった。知将・馬淵監督率いる明徳義塾に現時点の弱点を突かれた。セ・リーグのスカウトの1人は3つの課題と大きな可能性を指摘する。
変化球の時に緩む投球フォーム
まずは、変化球の時に緩む投球フォーム。
直球と比べて、テークバックからやや動きが遅くなり、腕の振りも弱くなるという。「特に直球とスピード差があるカーブを投げる時と、投げ急いでいる時はフォームの違いが分かりやすい」と話す。
腕の振りが緩めば、変化に鋭さが欠ける。打者は直球と変化球、どちらがくるのかを判断し、対応しやすくなる。
厳しいコースに制球されれば別だが、150キロを超える直球でも、変化球とのコンビネーションなしに打ち取るのは難しい。実際、馬淵監督は「風間君くらいのスピードは、いつもフリー打撃で練習している。選手は風間君の直球を速く感じないと話していた」と証言する。全国の強豪校では、打撃マシンを使って150キロ近い直球を打ち返す練習をしている。
セットポジションのリズム、投げ急ぐ傾向
2つ目の課題は、走者を背負ってからの投球だ。
風間は明徳義塾に足でも揺さぶられた。盗塁こそ許さなかったものの、ランエンドヒットの時はモーションを盗まれ、ディレードスチールも仕掛けられた。
セ・リーグのスカウトは「セットポジションに入ってから投球するまでのリズムが同じで、走者はスタートを切りやすい。途中からけん制を入れたり、クイック気味にセットポジションに入ってから時間をかけずに投球したりする工夫をしていたが、リードを小さくするような効果はなかった。走者を気にして制球を乱す場面もあった」と指摘した。
3つ目も走者を背負っての投球。どの投手にも言えるが、ピンチを招くと、アウトをほしがって投げ急ぐ傾向がある。
風間の場合は慌てるというより、勝ち気な性格がマウンド上で表れ、「早く次の打者をねじ伏せたい」と必要以上に力が入っているという。ただ、投手には必要な気質。弱点ではなく、気持ちをコントロールできれば武器になると評する。
課題を露呈した風間だが、プロの高い評価は変わらない。