甲子園の風BACK NUMBER
《ドラ1確実の高評価》最速157km右腕・風間球打(明桜) プロ野球スカウトが見た「現時点での3つの課題」とは
posted2021/08/23 17:02
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Kyodo News
ギアを上げる力は残っていなかった。
22日の2回戦第1試合、6回1死二塁。今大会ナンバーワン投手の評価を受ける明桜・風間球打は思い切り腕を振った。思うようにコントロールできない。はっきりボールと分かる投球が4球続き、明徳義塾の7番打者を歩かせた。
3回のピンチで150キロを連発し、この試合最速となる152キロを記録した直球は、145キロにも届かなかった。
風間は、後続を何とか打ち取って無失点でしのいだ。だが、2打席連続3球三振に斬っていた8番・梅原雅斗を二ゴロに打ち取るまで、10球を要した。6回を投げ終わり、球数は139球に達していた。
「変化球が見極められて、直球をファウルされて苦しかったです。直球だけでは勝てないと学びました」
7回からマウンドを譲った風間は右翼の守備へ。再び登板することなく、甲子園を去った。
馬淵監督は「たまたま」と言うが対策を徹底していた
明徳義塾・馬淵史郎監督は「たまたま、うちのペースになってラッキーだった」と振り返った。ただ、その言葉通りには受け取れない。風間対策は徹底していた。ベンチから打者に向けて「胸より高い球を振るな」、「顎を上げるな」と何度もジェスチャーで指示した。
「待球作戦だと風間君にスイスイいかれてしまうので、甘い球は打っていこうと。2ストライクに追い込まれてからは、形にこだわらずファウルで粘ろうと選手には伝えた」
指揮官の狙いを選手たちが見事に体現した。
初回に3番・森松幸亮が8球目に四球を選び、3回には9番・岩城龍ノ介が10球粘って安打を放った。明徳義塾打線は、序盤3回で風間に75球を投げさせた。高知大会決勝でプロ注目の森木大智と対戦した時と同じ作戦で、マウンドから引きずり下ろした。