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“あの時”を知る竹下佳江が緊急提言「いま動かないと、取り残される」バレー界が持つべき危機感とは? 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byRyuichi Kawakubo/AFLO SPORT

posted2021/08/19 11:03

“あの時”を知る竹下佳江が緊急提言「いま動かないと、取り残される」バレー界が持つべき危機感とは?<Number Web> photograph by Ryuichi Kawakubo/AFLO SPORT

最終予選でクロアチアに敗れ、シドニー五輪出場を逃した日本代表(2000年)

 予選ラウンド1勝4敗、という現実。目標としてきたメダル獲得には遠く及ばぬ結果に終わった女子バレーだが、竹下は大会前からその予兆を感じ取っていたという。

「12名のメンバーを見た時、ミドル(ブロッカー)が4名選出され、その分アウトサイド(ヒッター)の選手が少ないのはどうしてだろう、と。実際、黒後愛選手の控えもいない状況で、彼女にかかるプレッシャーも大きかっただろうし、古賀紗理那選手もケガをしてしまった。確かに想定外ではありましたが、アウトサイドの選手は攻守で負担も大きいので、その状況も予想できたはずなんですよ。

 もしかしたらミドルの荒木絵里香選手、島村春世選手はベテランなので、連戦の体力を危惧したのかもしれません。でも彼女たちが計算できる選手であることは、直前のネーションズリーグでも証明されていました。なぜ、このメンバー構成だったのか、という部分は最後までわかりませんでした」

 並大抵の精神力がないと戦え抜けないことは、自身も姫路で監督を務め、選手としても多くの監督を見てきた経験から理解している。だからこそ、指揮を執った中田久美監督に対しては「誰よりも五輪に懸けていただけに、責任を感じて苦しんでいるはず」と心を寄せる。

コーチングスタッフの変更

 ただ、一方では多くの疑問も抱く。年月を重ねて信頼関係やコンビの精度、チームとしての戦い方やあるべき姿を構築していく日本代表で、なぜ毎年のようにコーチングスタッフが替わったのか。もし自分が監督、選手の立場だったら「私としてはありえない」と強い口調で、竹下が疑問を呈する。

「監督と選手、スタッフ同士、全員が共通認識を持っていないと戦えない。そもそもなぜ育成担当の指導者が急にトップチームのコーチになったのかという点も説明がなかった。もしかしたら、見ていた私たち以上に現場の選手は疑問を感じていたかもしれない。戦術面に関しても、これまでの体制と比べれば多少なりとも相違があったはずです。それも『仕方ない』と受け入れてしまっていたのかもしれませんが、もっと選手たちも『私はこうしたい』と主張してもよかったですよね。大会中に出された記事などを見ても、きちんと疑問を疑問としてぶつけられていたのか、クエスチョンマークがつきます」

 竹下が「気になった」と指摘するのは予選ラウンド4戦目、韓国との試合後に出された記事にあった。

【次ページ】 意思統一ができていなかった?

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