酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

東海大相模や星稜が出場辞退…高校野球関係者に聞いた感染症対策の難しさ「指導者自身も“鼻出しマスク”で」「更衣室だと気が緩み…」 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph byKatsuro Okazawa/AFLO

posted2021/08/09 11:04

東海大相模や星稜が出場辞退…高校野球関係者に聞いた感染症対策の難しさ「指導者自身も“鼻出しマスク”で」「更衣室だと気が緩み…」<Number Web> photograph by Katsuro Okazawa/AFLO

2021年センバツ決勝前。2年ぶりの夏の甲子園もぜひ無事に開催されてほしい

 今大会開催に当たって、日本高野連と主催の朝日新聞社は「新型コロナ感染対策のガイドライン」を発表している。

◆三つの密(密閉、密集、密接)を徹底的に回避
◆大会関係者、代表校関係者、メディア関係者、学校関係者の検温を実施、球場内での消毒、マスク着用の徹底
◆メディア関係者は事前登録制とし、選手・監督らチームへの取材は対面ではなく、オンラインを原則とする

 これらの指針を基本方針として、各校レベルで、さらに細かな事例について具体的な指標、マニュアルを決めておく必要があると思う。

100人以上の選手を擁する学校の指導者の正直な思い

ADVERTISEMENT

 鳥取県の有力校、米子松蔭が学校で1人の陽性者が出たために、選手全員が抗原検査で陰性だったのにもかかわらず、一時は出場辞退に追い込まれた事件について、指導者は当然ながら同情的だったが、今回の声で多く指摘されていたのは「どうなったら出場辞退で、どこまでならセーフなのか、具体的な基準が必要だ」ということだ。

 日本高野連は、《代表校関係者に新型コロナウイルスの感染者が確認された場合の対応》として

◆主催者は緊急対策本部を設置し、保健所の指示を踏まえて対応を決定する
◆代表校内での集団感染ではなく個別の事案の場合、チームの初戦までは当該選手の入れ替えなどで対応し、代表校の大会参加は差し止めない
◆集団感染と判断しチームとして出場ができなくなった場合でも、代表校の差し替えなどはしない

 としている。

 100人以上の選手を擁する私学の指導者は「うちの選手全員にPCR検査をしたら100%陰性である自信はない」と語る。

 現在の感染拡大を考えるならば、感染者が出ない状況は考えにくい。指導者、学校関係者はそれを前提にして、個人の感染をクラスターにしないための対策を進めるべきだろう。

 今回話を聞いた指導者や審判の多くは「寮が感染拡大のリスクを高めるのではないか」と指摘している。甲子園出場校は、ホテル、旅館で寮と同様の合宿生活を行うことになる。今回は無観客だが、関係者の観戦は認められている。こうした人たちも含め、球場外での感染のリスクをどうやって回避するのか。

 ある指導者は自身の遠征時の経験からこのように語っている。

【次ページ】 「そこまでやらなくても」と指導者が思ったらダメ

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#東海大相模高校
#星稜高校

高校野球の前後の記事

ページトップ