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《甲子園》大会No.1右腕・風間球打(ノースアジア大明桜)がただの“本格派”ではない理由…勝負パターンが逆?
posted2021/08/06 06:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Sankei Shimbun
前評判が高かった達孝太(天理)、小園健太(市和歌山)、森木大智(高知)が相次いで姿を消す中、今年の夏の甲子園で快投が期待されているのがノースアジア大明桜高校(秋田)を4年ぶりの10度目の甲子園へ導いた風間球打(きゅうた)だ。
明治神宮大会やセンバツ大会に出場していないためか、達や小園のような全国的な知名度はないが、9日に開幕する選手権でスポットライトが当たることは間違いないだろう。
ストレートの最速は157キロ。そこに光が当てられがちだが、風間にはもう1つの大きな特徴がある。それが変化球の精度の高さだ。
7月23日に行われた秋田大会決勝・秋田南戦では初回の1番打者に徹底した変化球攻めで三振を取り、続く2番打者を151キロのストレートでセカンドフライに打ち取るまでも徹底した変化球攻め。3番打者には4球目の152キロのストレートで空振りを奪っているが、三振に取ったのは136キロのフォークボールらしき落ちる球という技巧派ぶりである。
筆者の座席がバックネット裏のやや一塁側だったことも変化球がよく見えた一因だと思うが、映像を見返してもフィニッシュまで体の開きがほとんどなく、変化球の“変化点”が打者寄りだった。この決勝戦での与四死球が3つだったように、コントロールも安定している。
さらに注目したのが続く、2回裏のピッチングだ。
先頭の4番打者にストレートをライト前、5番にスライダーをライト方向に二塁打され、無死二、三塁のピンチを迎えた時のこと。6番打者には今度は151キロ、150キロのストレートで押し、カーブで空振りを取ったあと、またもや151キロストレートでライトへのファウルフライに打ち取った。7番打者にはストレートの四球を与えるが(全球ストレート、急速は150キロ、151キロ、150キロ、149キロ)、8番打者を変化球→ストレートの配球で攻め、最後はスライダーを投じて三塁ゴロ併殺に打ち取り、ピンチを脱している。