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「日本一の準備をした」と自負した仙台育英は、なぜ県4回戦で敗れたのか? 須江監督「バッドエンドかどうかは分かりませんよ」
posted2021/08/08 11:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Sankei Shimbun
7月下旬の練習試合、5回終了後のグラウンド整備時にはセンバツ甲子園の大会歌『今ありて』が流れる。
宮城大会4回戦で仙台商に敗れ、早すぎる夏の終わりを迎えた仙台育英では、すでに新チームが始動し、次の目標に向けて動き始めていた。
それでも監督就任4年目の須江航からは敗戦の悔しさは未だ消えていないようだ。それどころか日々、その悔しさは増している。
「毎晩寝る前に涙が出てしまうくらい今も悔しい。集大成として位置づけて、日本一を目指していたチームを甲子園にすら行かせてあげられなかったんですから」
今年の3年生は、須江が仙台育英の系列校である秀光中学の監督として指導していた選手が10人も在籍する。高校に異動して4年目となる今春のセンバツでは、彼らと8強入りを果たした。今夏はかねてからスローガンに掲げる『日本一からの招待』の通り、全国制覇にふさわしいチーム作りを洗練させていた。
自信を持っていたチームの成熟
たとえば、1年生から3年生の全90選手の能力を細かく項目分けして数値化し、それによりレギュラーやベンチ入り選手を決めるシステムが定着。全部員がいかにチャンスを掴むかを考え、切磋琢磨してきた。夏の県大会のベンチを外れた選手も「甲子園ではベンチに入る!」と、ひたむきに練習に取り組み続けた。
そんなチームをまとめ上げる主将の島貫丞も秀光中時代から知る1人。須江はこのキャプテンに全幅の信頼を置く。
「日本一になってから言えよって話なんですが」と前置きしながらも、選手たちとともに揺るぎない自信と成果を積み上げてきた手応えがあった。だからこそ、悔しさの滲む言葉は決して負け犬の遠吠えではない。
「子どもたちの自信と成熟具合は、少なくとも僕が監督をしてきた4年間でも一番でした。そして、いち野球ファンとして高校野球を長年観てきた人間としても、ここまで地に足をつけて、一つひとつのプレーが整理されていて、野球の本質に向き合ってきたチームは、高校野球の歴史上、僕はないと思うんです」