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《甲子園》大会No.1右腕・風間球打(ノースアジア大明桜)がただの“本格派”ではない理由…勝負パターンが逆?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySankei Shimbun
posted2021/08/06 06:00
巧みな変化球を駆使しながら、150キロを超えるストレートで相手を仕留めるノースアジア大明桜高3年・風間球打(写真は準決勝の投球練習)
よく野球界では「本格派」という表現が使われるが、その多くのピッチャーが「速い球を見せたあとに変化球」で打ち取る配球が多い。“二刀流”で全米を興奮させている大谷翔平投手にしても、勝負球はスプリット(フォークボール)、スライダーが多い。ただ、風間はその勝負パターンが逆である。
持ち球とされる変化球はフォークボール、スライダー、チェンジアップ、カーブにカットボールがあるだろう。この中で最も驚かされたのがフォークボールだ。キレとか変化の仕方ではない。単純に投げる数が多いのだ。
90年代に活躍した佐々木主浩(元横浜)あたりから早いカウントでフォークボールを投げるピッチャーが増えたと思うが、高校生がカウント球でフォークボールを投げる姿はあまり見かけない。これらの変化球をたっぷり見せたあと、150キロを超すストレートで打者を圧倒するというのが秋田南戦で見せた風間のピッチングの特徴でもあった。
ストレートの最速は157キロ
ストレートの最速は秋田大会準々決勝の秋田戦で計測した157キロ。これは球場で見ていないが、右打者の内角胸元に決まる最高のコースに決まっている。筆者が見た決勝戦での150キロ超えは『日刊スポーツ』の記事によると22球。私の記録では1回2球、2回6球、3回1球、4回3球、5回1球、7回4球、9回3球だった。6回と8回以外のイニングで150キロ超えを果たし、100球を超えた9回に3球計測しているのには驚かされる。
この速いストレートと変化球が同等の役割で配球されているのだ。