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「日本記録を更新しすぎ」「1着以外は3レースのみ」…19歳三浦龍司の“スーパー大学生ぶり”とは?〈49年ぶりに決勝へ〉
posted2021/08/02 06:01
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
JMPA
「いやー、すごい! これ、世界のトップですよ。負けてない!」
東京オリンピックの陸上競技の初日だった7月30日。テレビで解説を務めていた金哲彦さんが、思わず絶叫するほどの快挙を成し遂げたのが、男子3000m障害の三浦龍司(順大)だ。
今季はそもそも絶好調 「1着以外は3レースだけ」?
三浦と同じ組を走った選手には、2019年ドーハ世界選手権銀メダリストのラメチャ・ギルマ(エチオピア)、同6位のベンジャミン・キゲン(ケニア)といった有力選手がいた。特にギルマは、今季のシーズンベストは世界トップで、今大会の優勝候補にも挙げられている。予選とはいえ、そのギルマと互角の戦いを見せ、最後は2着でフィニッシュした。
トラックの長距離種目では、日本人選手が最終盤にケニアやエチオピアの選手に圧倒的な差を付けられる場面をこれまで何度も見てきただけに、金さんならずとも、三浦の走りに興奮した人は多かったのではないだろうか。
「中盤から少しずつ上げていって、最後400mで抜け出すという形をとれはしたんですけど、抜け出せなかった。そこが今までのレースとの大きな差かなと思う」
レース後にこう振り返ったように、確かに今季の三浦は、得意とする3000m障害以外の種目を含めても、ほとんどのレースを1着でゴールしている(筆者調べでは、今季トップフィニッシュではなかったのは、今回で3レース目だった)。世界のトップが相手でも、三浦は予選から1着を奪いにいくつもりだったのだ。
とはいえ、決勝進出の条件は予選各組の上位3着までか、4着以下のうち記録上位6人に入ることだったが、三浦は堂々と着順で予選通過を決めた。しかも日本勢で最初にトラックに登場して、いきなり自身の記録を6秒も更新する8分9秒92の日本新記録を樹立してみせた。
3000m障害・通称“サンショー”とは
3000m障害は、通称“サンショー”などと呼ばれるが、陸上経験者や陸上ファンは知っていても、一般的にはあまり馴染みのない種目かもしれない。