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「日本記録を更新しすぎ」「1着以外は3レースのみ」…19歳三浦龍司の“スーパー大学生ぶり”とは?〈49年ぶりに決勝へ〉
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJMPA
posted2021/08/02 06:01
49年ぶりに3000m障害で決勝進出を果たした三浦龍司
「いつもと同じ流れの(試合前の)練習を組んでいたのですが、そんなに良くなかったんです。疲労があって、キレが悪かったり、タイムも思ったより伸びなかったり……」
三浦を指導する長門俊介監督はこう振り返る。だが、予選前日の刺激練習の時には、三浦にいつものキレが戻っていた。
「決勝に残るつもりで想定していましたので、疲労が出たのも含めて、調整が順調にはまったんじゃないかと思っています」(長門監督)
ということは、決勝にピークを合わせてきたということか?
「そこまではっきり言い切れないんですけど(笑)。予選で落ちたらどうすんだ! って話ですから。ただ、決勝をイメージして準備はしてきているので、決勝も楽しみだと思います」
長門監督も、三浦の決勝の走りを心待ちにしている。
予選の走りに手応えを得た一方で、「ラストの切れ味は、外国人選手に比べれば、もうちょっとかなと思う」と、三浦は課題を見出すことも忘れていない。
「決勝は予選以上の記録、走りの強さを見せていかないといけない。どんな展開だろうと、タフについていって、ラスト勝負しにいくレースをしたい。(決勝では)2000mからパッと出るレース展開もありえるのでいろいろなイメージをしながら、対応できるように、イメトレをしていきたいと思います」
49年ぶりの決勝へ 種目史上初のメダル獲得なるか?
国内のレースでは自らレースを組み立てて好記録を連発してきたが、オリンピック決勝の舞台はそうはいかない。だが、どんな展開だろうと、世界のトップ選手と戦うイメージが三浦の頭の中にはあるのだろう。
「三浦は、目標タイムを低く見積もるというか、あまり高いことは言わないんですけど、本人は8分10秒ぐらいはいくかなと言っていました。三浦がそういうタイムを言っているということは、決勝はもっといけると思います。予選のレースを見ていても余裕があったので」(長門監督)
日本人がこの種目でオリンピックの決勝を走るのは、1972年ミュンヘン五輪で9位だった小山隆治さん以来49年ぶりで、オリンピックでは日本人のメダルはおろか入賞さえもいまだにないが、長門監督の言葉から、いやが上にも、期待が高まる。
三浦の予選のタイムは、予選全体でも2番目の好記録。今季リストでは世界6位に相当し、十分に上位を狙える位置にいる。
三浦がメダルを獲得しようものなら、“サンショー”の認知度が一気にアップするのは間違いない。決勝は8月2日の21時15分。19歳の三浦の走りに注目だ。