オリンピックPRESSBACK NUMBER
「日本記録を更新しすぎ」「1着以外は3レースのみ」…19歳三浦龍司の“スーパー大学生ぶり”とは?〈49年ぶりに決勝へ〉
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJMPA
posted2021/08/02 06:01
49年ぶりに3000m障害で決勝進出を果たした三浦龍司
簡単に説明すると、トラック1周の間に高さ91.4cmの障害が5台あり(うち1台は着地点に水濠がある)、3000mを走る間に障害を計28回、水濠を7回越えるという過酷な種目が“サンショー”だ(※水濠がトラックの内側にある場合は1周390m、外側にある場合は1周421mになる。また、女子の障害の高さは76.2cm)。
予選の三浦の活躍はスポーツニュース等でも数多く取り上げられたので、それで初めて3000m障害という種目を知った人も多かったのではないだろうか。
「まだまだマイナーな種目。もっと認知してもらって、盛り上がるような走りをしたい」
今年の日本選手権で優勝した際に三浦はこんなことを話していたが、予選はまさに有言実行の走りだった。
各世代で記録更新 “順大のスーパールーキー”
三浦は大学2年生ながら、すっかり3000m障害の第一人者としての風格が漂う。
京都・洛南高時代には30年ぶりに高校記録を更新。順大1年目の昨年は41年ぶりの学生新記録、37年ぶりのU20日本新記録を打ち立てた。そして、今年は18年ぶりに日本記録を樹立。しかも、5月、6月、7月と毎月のように日本記録を更新している。8月2日の決勝でも日本記録を塗り替えれば、4カ月連続の日本記録となる。
さらに、三浦の才能は3000m障害の枠に収まりきらない。
大学1年時は、箱根駅伝は1区10位と力を出しきれなかったが、全日本大学駅伝では1区で区間賞・区間新と、スーパールーキーの呼び声通りの活躍を見せてきた。
また、2月生まれの三浦はまだ19歳で、次々と各種目の20歳未満の日本記録(U 20日本記録)を塗り替えている。
昨年10月の箱根駅伝予選会では、ハーフマラソンで、大迫傑(Nike)が持っていたU20日本最高記録を上回る1時間1分41秒をマーク。今季は、障害のないフラットレースの3000mで7分48秒07とU20日本新記録を打ち立て、5000mでもU20日本記録にあと1秒と迫っている(歴代2位の13分26秒78)。1500mを走っても、学生トップクラスの力を持つ。
トラック、ロードのみならず、今年2月の日本選手権クロスカントリーでは、シニア10kmの部で、5000m五輪代表の松枝博輝(富士通)らに競り勝って日本一に輝いており、マルチな活躍を見せる三浦は、まさに日本の中長距離界のホープなのだ。
監督も太鼓判「決勝に残るつもりで想定していました」
実は、三浦はオリンピック前に少し調子を落とした時期があったという。