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大谷翔平はなぜ「いつも全力」なのか? 東京五輪を取材をする私が身に染みて感じた“深すぎる理由”
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2021/08/01 11:02
投打だけでなく、走塁でも全力プレーを見せる大谷翔平。その根底には、花巻東高校の恩師である佐々木監督からのある教えがあった
「ベンチ入りした20名はベンチに入れなかった仲間たちの分まで全力プレーする『義務』がある。ベンチ入りができても打席に立てない仲間もいる。だからグラウンドに立った者には全力で走り抜ける『義務』がある。『義務』と『権利』。その言葉を忘れるな」
大谷の出身校、花巻東高校野球部・佐々木洋監督の言葉だ。
大谷だけではない。花巻東高校出身の選手たちは、卒業後もこの言葉を胸にプレーを続けている。
大谷はマイナーリーグでのプレー経験はない。高校時代のようにベンチに入れなかった選手と日常的に接するわけではない。しかし大谷は直接的にベンチに入れなかった選手だけではなく、メジャーに憧れたり、夢みるすべての野球選手を代表し、義務(もう体に馴染んでいるはずなので義務と思っているかは不明だが)や責務を果たしていると思う。
“最後の五輪”でも家族は見守ることができない
6月の陸上の全米オリンピック選考会では、家族や友人を対象にチケット販売が行われ、東京行きを諦めた多くが会場のオレゴン大学ヘイワードフィールドに駆けつけ大声援を送った。
オリンピック行きを決めた選手たちの家族や友人たちに口々にこう言われた。
「私たちは東京に行けないから、代わりにうちの子をよろしくね。何かあったら連絡してね」
東京にいけない無念さ、寂しさ、選手を思う気持ちが強く伝わった。