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大谷翔平が“どれだけ打っても”エンゼルスのプレーオフ進出確率は〈6.90%〉!? 2001年のイチローと比較してみたら… 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/07/28 06:03

大谷翔平が“どれだけ打っても”エンゼルスのプレーオフ進出確率は〈6.90%〉!? 2001年のイチローと比較してみたら…<Number Web> photograph by Getty Images

7月25日のツインズ戦にて、久々となる35号ホームランを放った大谷。しかしチームとしては依然厳しい状態が続く

得点数は地区2位だが、失点数はワースト

 7月31日のノンウェイバー・トレード(文字通り、当該選手をウェイバー公示しなくてもトレードが成立する)期限まで、あと数日。地区優勝やプレーオフを狙うチームを「Buyer=買い手」、来季以降を考えて主力選手を放出し、他球団の有望株を獲得するチームを「Seller=売り手」と分けて盛り上がる米メディアによると、エンゼルスは「売り手」になる見込みだという。

 開幕前に「今季の外野3人」と見られていたマイク・トラウト、デクスター・ファウラー、ジャスティン・アップトン(22日に復帰)が全員、負傷者リスト入りしていたのに、ここまでチーム打率.259と同出塁率.320は、1位アストロズに次ぐ地区2位、長打率.442はアストロズを凌ぐ地区最高だ。ところが、先発の投手防御率3.98と救援防御率4.80はともにAL西地区ワーストでメジャー30チーム中それぞれ24位と「勝てなくて当然」の成績で、454得点が地区2位なのに対して、482失点は地区ワーストなので、むしろ、勝率5割前後にいるのが不思議なぐらいだ。

 もちろん、得失点差−51のマリナーズが上位にいるように、エンゼルスの同−28が必ずしもチームの勝率に反映されるわけではないが、勝率5割以上のチームを相手に26勝40敗(勝率.394)と苦戦が目立つ原因の一つではある。とくに同地区の上位3チームには弱く、首位アストロズに3勝6敗(同.333)、2位アスレチックスに3勝8敗(同.273)、3位マリナーズに対しても5勝8敗(同.385)と、エンゼルス・ファンにとっては気の毒なぐらい「大事な試合に勝てない」のが現状だ。

エンゼルスが“投手を補強できなかった”ワケ

 彼らの弱点である投手陣を立て直すには、トレード市場に出ている先発マックス・シャーザー(ナショナルズ)やカイル・ギブソン(レンジャーズ)、救援ならクレイグ・キンブレル(カブス)や左腕ポール・フライ(オリオールズ)といった有力な投手たちを複数獲得しないことには厳しいだろう。だから、セイバーメトリクス(野球の統計分析)愛好家に支持されている「FanGraphs」でも以下のように予想されているわけだ。(NumberWeb以外でご覧になっている方は、「写真ページ」からご覧ください)

 チームとしてのエンゼルスを考えた時、この予想に疑問を持つ人はかなり少ないと思う。チームの若手有望株を放出してトレードを仕掛け、1割以下(6.9%)のプレーオフ進出確率に賭けるのは正真正銘のギャンブルだ。それに今年は「勝率5割」を目指す戦いに終始しても、エンゼルスのジェネラル・マネージャー(GM)に就任したペリー・ミナシアンにとっては、想定内だろう。彼は昨オフ、弱点であるはずの投手陣をあまり補強しなかったのだ。

【次ページ】 「エンゼルス・ファンの正しい姿勢」

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