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「性的暴行疑惑」でエースのバウアーが離脱も、優勝を争うドジャースが"無言"のワケ<プレーしなくても週給150万ドル>
posted2021/07/30 11:04
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
オールスターが終了し、後半戦に突入したメジャーでは、プレーオフ進出をかけた戦いが、徐々に熱を帯びてきた。7月末のトレード期限までに各球団首脳が、水面下で交渉を続ける一方、昨季世界一のドジャースに潜む不安材料は解消されていない。
昨オフ、3年1億200万ドル(約112億2000万円)の大型契約を結んだトレバー・バウアーが、女性への性的暴行疑惑により、8勝目を挙げた6月28日の登板を最後にMLB機構から休職扱いの処分を受けた。それにより、チーム内の不和が伝わるようになってきた。当初は1週間の予定だったが、7月27日には処分期間が8月6日まで延長されることが発表された。しかし依然として、ロサンゼルス州パサディナの警察署、MLBの内部調査が継続されており、復帰のメドすら立っていない。
女性が裁判所に申し立てをした後、バウアーの弁護士側は「完全な合意のもと」としたうえで、首を絞めるなどの行為は「女性が求めたこと」などの声明を発表した。また、十分な証拠があると自信を見せており、徹底的に争う姿勢を明かした。
常にゴシップを提供する異端児
昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞を獲得したバウアーは、移籍1年目の今季、ここまで17試合に先発し、8勝5敗、防御率2.59と安定した成績を残してきた。その一方で、マウンド上での振る舞いが敵地ファンの反感を買い、遠征先ではブーイングの嵐に遭うなど、話題を振りまいてきた。元々、ダイヤモンドバックス時代にはコーチに反抗したり、捕手を公然と批判したり、インディアンス時代には、交代時にバックスクリーンへボールを投げ込んで不満を表すなど、異端児のイメージがつきまとってきた。今回の処分は、休職扱いであり、その間、週150万ドル(約1億6500万円)とも言われる給与は支払われるため、ファンの間では批判的な声も多い。
あくまでも調査の結果や裁判所の裁定次第だが、たとえ無事に和解・決着したとしても、戦列復帰がスムーズに進むとは言い切れない。