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スターダムの新星“闘魂Hカップグラドル”白川未奈の決意「実力勝負なら、いつか追い抜ける」《2冠達成記念特別グラビア+インタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/07/17 11:01
フューチャー・オブ・スターダム王者に輝いた白川未奈。次に彼女の見据える先は…?
2018年8月5日、ボディコンテスト『ベストボディ・ジャパン』のプロレス部門旗揚げイベントにおけるタッグマッチでデビュー。“筋肉アイドル”才木玲佳にフォール負けを喫する。同じ年の11月からは「もっと試合がしたい」と東京女子プロレスに参戦。翌年にはベストボディ・ジャパンプロレスの初代女子チャンピオンになった。
元祖“グラレスラー”愛川ゆず季の紹介で
プロレスへののめり込みぶりは、誰が見ても分かるものだった。趣味だった筋トレの目的は、ボディメイクから“技の強化”に変わる。ブラジリアン柔術の道場にも通い始めた。白川の試合、その序盤に目を凝らすと、グラウンドの攻防も通り一遍の動きではないことが分かる。
「柔術を始めて1年半以上。ようやくグラウンドで緊張せず、自分のペースでできるようになってきました。私は柔術を習っているといっても、関節技でギブアップを取るスタイルではない。それでもグラウンドでペースを掴むと、そこから先の展開でも主導権を奪いやすいんです」
こうした言葉に“グラドルっぽさ”は微塵も感じられない。昨年10月から新日本プロレスと同じブシロード傘下のスターダムへ。予定していた海外遠征がコロナ禍で中止になり「このまましばらく海外に行けないなら、日本で一番の団体でやりたい」と考えたのだ。スターダムのファイトスタイルに順応するため、立ち技格闘技シュートボクシングのジムにも通い始めた。ずっと意識してきた、元祖“グラレスラー”愛川ゆず季の紹介だった。
「スターダムの試合は打撃技の割合が多いし、みんな打撃が重いんです。もう毎試合のように頭を打ち抜かれてるので。打ち負けないためにも打撃の練習は必要ですね。7月4日のウナギ(・サヤカ)戦で出した浴びせ蹴りはシュートボクシングの練習で大村勝己さん(シーザージム新小岩代表)に教わりました。尊敬している獣神サンダー・ライガーさんの得意技でもあるし、いいんじゃないかと。スターダムでは使ってる選手もいないですし」
3本目のベルトでも、「まだまだ満足できない」
ウナギとの王座決定戦に勝ち、白川はフューチャー・オブ・スターダム(キャリア3年までの選手が対象)のベルトを巻いた。6人タッグのベルト、アーティスト・オブ・スターダムに続いて2冠達成だ。キャリア全体では3本目のベルト。素直に嬉しいが、まだまだ満足できないとも言う。やはりスターダムといえば赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム)、白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム)が看板だ。ただリングに上がってみて、頂点への道は遠いと実感した。着実にステップアップするためにも、フューチャー王座獲得は重要だった。
「スターダムは選手層が厚いし、凄いなって尊敬できるところが全員にあるんです。自分よりキャリアが浅い選手でも、ですね。上谷(沙弥)はシンデレラ・トーナメント優勝、飯田(沙耶)は先にフューチャーのベルトを巻いて。舞華は週プロの表紙になった。みんな凄いですよ」
デビュー前からの“友人”に“蹴り”を入れられた
白川曰く「現実を悟ってしまった」。スターダムに参戦してすぐの、ひめかとのシングルマッチも記憶に残っている。白川より8カ月ほど先にデビューしたひめかとは、レスラーになる前からの友人だった。アクトレスガールズでのひめかのデビュー戦では、白川がリングアナを担当している。これまでは団体が違ったが、初めてリングで向き合えたのが昨年10月の“聖地”後楽園ホール大会だった。
だが試合は序盤からひめかが圧倒。ひたすら力の差を見せつけられ、白川は敗れた。「悔しくて試合中から泣いてました」と白川。ひめかは試合後も触れ合うことを拒否して蹴りを入れた。文字通りの“一蹴”だった。
「スターダムはそれだけ厳しい、甘いこと言ってられない世界なんだなって。昔から知ってる“有田ひめか”じゃなくドンナ・デル・モンド(ひめかの所属ユニット)のひめか、敵対ユニットのメンバーのひめかになってましたね」