酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
澤村拓一の4~6月戦績を見ると“レッドソックスで評価アップ中”? MLBで「進化」した上原浩治の再現なるか
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byWinslow Townson/Getty Images
posted2021/06/28 17:30
パワーピッチでメジャーの強打者と渡り合っている澤村拓一。安定感が増せば“勝ちパターン”の一角に入るかもしれない
現時点ではIL(負傷者リスト)入りしている主要な救援投手はいない。バルデスが40人枠に落ちた程度で、陣容は充実している。
澤村は徐々にいいところで起用されはじめているのは間違いない。ただしホールドシチュエーションでの起用はまだ少なく、依然として「お試し中」だと言えるだろう。
MLBは来月には折り返し地点を迎える。ここから澤村拓一は正念場を迎えると言えよう。
上原はNPB史上最高の制球力をさらに磨いた
レッドソックスの日本人救援投手と言えば、上原浩治と田澤純一の名前が浮かんでくる。
特に上原浩治は2013年から16年までの4シーズンで230試合14勝13敗79セーブ32ホールド、防御率2.19をマーク。1年目はセットアッパーだったが途中からクローザーに起用され、3年連続で20セーブを記録した。
「世界最速」と言われたヤンキースのアロルディス・チャプマンの「一番遅い球より遅い」速球しか投げなかったが、それでも打者は空振りをした。絶妙な軌道を描く数種類のスプリットで相手打線をほんろうした。全盛期には上原がマウンドに上がると相手チームにはあきらめムードが漂ったものだ。
上原はNPB史上屈指の制球力の持ち主だったが、MLBに移籍してから技巧にさらに磨きがかかった。MLBに移籍してから上原は「進化」したのだ。
高津臣吾、小林雅英ら日本からMLBに挑戦した救援投手で「1年だけ通用した」投手は珍しくなく、最近では平野佳寿が記憶に新しい。データ分析が進化しているMLBでは、1年目と同じ投球をしている投手は、翌年には打ち込まれる確率が高まるのだ。
とはいえ澤村拓一はNPB時代からMLBにあこがれ、筋トレをするなどアメリカで通用する投手になるべく努力をしていたという。
その努力が徐々に実りつつあるが――今季後半、セットアッパーとしての地位を確立するためには、さらなる進化をすべく自己研鑽を続ける必要があるだろう。
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