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フロンターレ鬼木監督に聞く“J1史上最速100勝”「勝っていくチームはこうだよなっていうのが僕のなかにある」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/06/25 11:02
J1史上最速100勝を達成した鬼木監督。今季はACL制覇も目指す
「選手から聞いた」というコメントが多いことに気づかされる
コミュニケーションは言葉を伝えるだけでは十分ではない。思いまで伝わって初めて成立する。少なくとも鬼木はそう解釈しているように感じる。
ここまで記した指揮官の言葉を、さかのぼって読んでいただきたい。太字になっている部分をピックアップすると、選手に伝えた、逆に選手から聞いたというコメントが多いことに気づかされる。
鬼木は言う。
「チームのことに関しては“分かってくれるだろうな”ではダメだと思っています。必要だと思ったら、説明すべきところは説明する。そこ(の区別)は自分のなかで凄くはっきりしている。ただ、選手起用のところは別ですよ。説明する場合もありますし、しない場合もあります。自分で考えてほしいっていうところも当然ありますから。選手から雰囲気で(説明を)求めているんだろうなって分かるんですけど、ここは我慢と思うと敢えて説明はしません」
説明責任の基準が彼のなかで明確になっているからこそ、選手たちにも意図は伝わりやすい。基本的には、選手に言う、選手から聞く、が多いマネジメント。その効果を感じさせるゲームがあった。
「(リードを守る)メッセージに捉えてしまったのか、と」
2位・名古屋グランパスとの“首位攻防第2ラウンド”(5月4日)だった。
直前のアウェーマッチを4-0と快勝してホームで迎えた一戦は、3点リードしながらも後半に2点を奪われて肝を冷やしたという内容であった。鬼木は自分の采配を反省した。レアンドロ・ダミアン、家長昭博を2人一緒に交代させてから、流れが悪くなったように思えたからだ。
「これ、2人に代わって出た選手が悪いっていうわけではまったくありません。あのときダミアンとアキを下げて、交代で入っていく選手には新たなパワーをチームに与えてほしいと考えていました。ただ相手からするとキーになる選手を下げたとか、自分たちのチームもそういう(リードを守る)メッセージに捉えてしまったのか、と。ちょっとおかしいなと思うことがあったら僕の場合、まず自分に向けるようにしています。あの采配が何かしらの影響を与えたのかなというふうに思ったんです」