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フロンターレ鬼木監督に聞く“J1史上最速100勝”「勝っていくチームはこうだよなっていうのが僕のなかにある」
posted2021/06/25 11:02
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
鬼木達は劇的な決勝ゴールを挙げた小林悠と抱き合い“よくやった”と言わんばかりに背中をパンパンと叩いた。たかぶった感情が伝わってくるようだった。
采配ズバリ。
5月30日、首位独走中の川崎フロンターレは上昇気流に乗ってきた鹿島アントラーズをホームに迎え、1-1のままアディショナルタイムに突入した。終了間近、左サイドの長谷川竜也がクロスを送り、中央で知念慶が競り、相手ディフェンダーが当てたボールをファーで受け取った小林が左足で落ち着いて流し込む。交代で途中から入ってきた3人によって生まれたゴールが、指揮官のJ1史上最速100勝を呼び込んだ。開幕から20戦無敗もJ1の新記録である(現在、21試合に伸ばしている)。
「シビれるゲームで達成できたのはうれしい」
156試合での達成。これまで最速だった西野朗の180試合を大きく更新した。だが本人にさほど喜びの色はない。試合後のフラッシュインタビューではこう応じている。
「単純に100勝とか関係なく、1勝のために毎日全力を選手たちと尽くしてきているので、こういったシビれるゲームで達成できたのはうれしいと思っています」
古巣の鹿島アントラーズ相手に、それも対する相馬直樹監督は鹿島、川崎でともにチームメイトとして戦ってきた間柄というドラマに加えて、3試合のうち2勝しないとたどり着かない凄い数字をあっさりと受け流してしまうのもこの人らしいと言えばらしい。自分の数字よりも「シビれるゲーム」を制したほうに喜びの比重を置くのだから。
最速100勝を記念してのインタビューも、その「シビれたところ」から話を始めることにした。