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ジェイミーHCが目を光らせる「逆境において誰がタフか」ラグビー日本代表を苦しめたサンウルブズの“楽しむマインド”【601日ぶりの実戦】 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2021/06/14 17:04

ジェイミーHCが目を光らせる「逆境において誰がタフか」ラグビー日本代表を苦しめたサンウルブズの“楽しむマインド”【601日ぶりの実戦】<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

田村優は同じキヤノン所属で、今季限りで退団が決まっているエドワード・カークと握手。試合後は両チームともに笑顔が目立った

 試合を締めるコンバージョンキックを託されたキッカーは背番号22。後半11分から田村優にかわり司令塔を託された松田力也だった。この日は強気なタッチキック、得意のボールキャリー、5本中4本を決めたプレースキックなど多くの見せ場を作った。

 23年W杯での10番を狙う27歳に、最後のトライ後にプレッシャーをかけたのはサンウルブズの面々だった。

 キックのアドレスに入った松田に対して、メンバー全員が低い姿勢でゴールラインに並んだ。学生最後の公式戦で見るような、良い意味でプロチームらしからぬ、全員のキックチャージだった。

 全員でチャージに走り、日本代表のために再編成されたサンウルブズは役目を完遂した。松田はプレッシャーの中でボールを蹴り上げ、放物線はHポールを鮮やかに射抜いた。

逆境の中で誰がタフに戦えたか

 日本代表の後半スコアは「29-3」。PR稲垣は戦前、試合のポイントとして「久しぶりの代表戦なのでミスも出るでしょうが、その後どれだけケアできるかが大事」と語ったが、前後半でガラリと展開を変えてみせた日本代表は修正力を見せた。

「タフなゲームがしたい」

 そう語っていた日本代表ジェイミー・ジョセフHCは、一定の収穫を得たのではないか。21年度日本代表のセレクションポリシーは、前回W杯同様、本番を見据えた「プレッシャーの中で正確なプレーが出来るかどうか」(藤井雄一郎ナショナルチームディレクター)だ。

 サンウルブズ戦の逆境において誰がタフだったのか、誰が浮き足立っていたのか、指揮官は目を光らせていたのに違いない。

 熱戦を通してサンウルブズの熱い激励を受け、日本代表はいよいよ海を渡る。欧州最強のドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」、そして、19年W杯では優勝候補の一角と目されながらグループステージで日本に敗れ、リベンジを期するアイルランド代表との再戦に向かう。

 欧州最強のドリームチームと、復讐に燃えるアイルランド。極限的な世界が日本代表を待っている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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