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ジェイミーHCが目を光らせる「逆境において誰がタフか」ラグビー日本代表を苦しめたサンウルブズの“楽しむマインド”【601日ぶりの実戦】
posted2021/06/14 17:04
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Kiichi Matsumoto
ブレイブ・ブロッサムズが逆境から立ち直った。
2019年W杯以来、601日ぶりの実戦の日を迎えたラグビー日本代表は、6月12日に静岡・エコパスタジアムで特別再編成されたサンウルブズと強化試合を行い、32-17で逆転勝利を収めた。
両チームは対照的な状況に置かれていた。
日本代表のメンバー24人は、全員が21年度日本代表。試合の位置づけは欧州遠征へ向けた準備の一段階であり、選手のマインドは主に「これまでやってきたことをやる」(PR稲垣啓太)「練習でやってきたことを試合で出せるか」(SO田村優)だった。
また日本代表は5月26日から約2週間の合宿を行っており、サンウルブズの大久保直弥HCが「かなり厳しい合宿を積んできたことは(サンウルブズに)合流した日本代表選手から聞いていた」と明かしたように、コンディションは万全とは言えなかった。事実、PR具智元、WTBセミシ・マシレワは合宿中の軽い怪我でメンバーから外れ、FLピーター・ラブスカフニも試合直前で欠場が発表された。
1回限りのサンウルブズ結成
一方、新型コロナウイルスの世界的流行により強豪国を招待できない状況下において、国内最強の相手として白羽の矢が立ったのがサンウルブズだった。
メンバー24人中、ゲームタイムを与えるために日本代表から合流したのは9人。サンウルブズという看板を背負うも、スーパーラグビーに参戦していた2020年以来となる1回限りの再編成であり、目の前の試合にすべてを懸けられる状況。選手のコメントは「思いきり楽しみたい」(FLエドワード・カーク)「持っている力をすべて出し切りたい」(LO長谷川崚太)と伸びやかだった。
準備期間は約1週間で、沢木敬介コーチング・コーディネーターが「ディフェンスはキャプテンズ・ラン(試合前日練習)で10分くらい」と語るなど攻撃面に注力。練習の円陣ではFLカーク主将が事あるごとに「楽しもう」と声かけをした。